金融市場NOW

超低金利下における高配当利回りの株式について

2014年08月21日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

世界の主要国の国債利回り、株式配当利回り比較

グラフ1:主要国の長期金利と株式配当利回りの比較

出所:ブルームバーグ、MSCIのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

現在、世界の主要国では、超低金利が続く中、株式配当利回りが長期金利を上回る水準にあります。 2014年7月末の世界国債は1.31%、米国国債(10年)は2.56%、ドイツ国債(10年)は1.16%、日本国債(10年)は0.54%と低水準にある一方、世界高配当株式の配当利回りは4.13%、世界株式の配当利回りは2.55%、ドイツ株式の配当利回りは2.84%、米国株式の配当利回りは1.95%、日本株式の配当利回りは1.81%と、概ね、世界の主要国の株式配当利回りは長期金利を上回る水準にあります。(グラフ1)

この現象は、2008年のリーマン・ショック以降、世界の主要国の金融当局が景気回復を目的に、金融緩和政策を実施し、量的緩和によるマネタリーベース(ベースマネー)の増加を促すとともに、政策金利の引き下げを実施してきたことに起因すると考えられます。(グラフ2、3)
こうした金融緩和の効果もあり、最近の世界の主要国の景気は緩やかな回復基調をたどり、株式市場も緩やかに上昇してきています。

グラフ2:日・米・ユーロ圏のマネタリーベースの推移

出所:ブルームバーグ、MSCIのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ3:主要国の政策金利の推移

出所:ブルームバーグ、MSCIのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

超低金利下における高配当利回りの株式の推移

グラフ4:米政策金利と主要国の株式配当利回りの推移

出所:ブルームバーグ、MSCIのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

次に、世界の主要国の株式配当利回りと米国の政策金利の推移をみてみましょう。2008年のリーマン・ショック以降、世界高配当株式の配当利回りは、相対的に高い水準で推移してきました。2014年7月末時点では、4.13%の水準にあります。(グラフ4)

グラフ5:米政策金利と主要国の株式指数の推移

出所:ブルームバーグ、MSCIのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

世界の主要国の株価指数は米国の政策金利が最低水準である0.25%となった2008年12月を境に反転・上昇しています。低金利が続く中、相対的に高い配当利回りの株式が選好されてきたと思われます。(グラフ5)

  • 世界株式:MSCI ワールドインデックス、世界高配当株式:MSCIワールド・ハイディビィデンド・イールドインデックス、米国株式:S&500種指数、ドイツ株式:ドイツDAX指数、日本株式:TOPIX(東証株価指数)、世界国債:シティ世界国債インデックス

利回り志向なら債券、利益成長期待なら株式が投資対象としてふさわしいとする投資理論がありますが、世界の主要国の超低金利が継続している現在、相対的に高い配当利回りの株式が相対的に良好な投資パフォーマンス(騰落率)を上げる傾向が、当面続くと考えられます。

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