金融市場NOW
米国景気と米国株式市場動向について
2014年08月14日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
米国の生産動向
グラフ1:米ISM製造業、非製造業景況指数の推移

2014年7月の米ISM(全米供給管理協会)景況指数は、製造業、非製造業景況指数ともに前月値を大幅に上回りました。これらの指数の動向は、現在の米国景気が堅調に推移していることを示唆していると思われます。
7月のISM製造業景況指数は、57.1と前月(6月)の55.3から1.8ポイント上昇しました。新規受注や雇用指数が大幅に上昇した他、生産指数の上昇も寄与しました。また、7月のISM非製造業景況指数は、58.7と前月(6月)の56.0から2.7ポイントの上昇となりました。生産・販売、新規受注、雇用指数が大きく貢献しました(グラフ1、表1)。
表1:米ISM製造業、非製造業景況指数の詳細
ISM製造業景況指数の内訳 | ISM非製造業景況指数の内訳 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
7月 | 6月 | 前月比 | 7月 | 6月 | 前月比 | ||
指数 | 57.1 | 55.3 | 1.8 | 指数 | 58.7 | 56.0 | 2.7 |
新規受注 | 63.4 | 58.9 | 4.5 | 生産・販売 | 62.4 | 57.5 | 4.9 |
生産 | 61.2 | 60.0 | 1.2 | 新規受注 | 64.9 | 61.2 | 3.7 |
雇用 | 58.2 | 52.8 | 5.4 | 雇用 | 56.0 | 54.4 | 1.6 |
入荷遅延 | 54.1 | 51.9 | 2.2 | 入荷遅延 | 51.5 | 51.0 | 0.5 |
在庫 | 48.5 | 53.0 | -4.5 | 在庫 | 51.0 | 53.5 | -2.5 |
顧客在庫 | 43.5 | 46.5 | -3.0 | 価格 | 60.9 | 61.2 | -0.3 |
価格 | 59.5 | 58.0 | 1.5 | 受注残 | 53.0 | 53.0 | 0.0 |
受注残 | 49.5 | 48.0 | 1.5 | 新規輸出受注 | 53.0 | 55.0 | -2.0 |
輸出 | 53.0 | 54.5 | -1.5 | 輸入 | 54.5 | 53.0 | 1.5 |
輸入 | 52.0 | 57.0 | -5.0 | 在庫水準 | 58.0 | 60.5 | -2.5 |
米国の雇用状況
グラフ2:米ISM製造業、非製造業景況指数とNYダウの推移

7月の雇用統計では、7月の失業率は6.2%、前月比0.1%とわずかに上昇し、非農業部門雇用者数は前月比20.9万人増と市場の事前予想の22.7万人を下回りました。
失業率は前年7月に比べ1.1%低下し、非農業部門雇用者数は、6ヵ月連続20万人以上の増加となりました。米国の雇用状況は引き続き改善傾向にあるとみられます(グラフ2)。
米国の生産、雇用状況と米国株式市場
2014年年初からの米ISM製造業、非製造業景況指数、米失業率とNYダウの推移をみると、緩やかな景気回復を背景に、米国株式市場は上昇してきたことがみられます(グラフ3、4)。
米ISM製造業、非製造業景況指数の堅調な推移と雇用統計の改善傾向をみる限り、今後も米国景気は堅調に推移すると予想されます。リスク要因としては、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が早期利上げに踏み切ること等ですが、現段階では、中東情勢やウクライナ情勢などの地政学的リスクもあり、時期尚早であると思われます。したがって、米国株式市場は、中長期的に緩やかな上昇トレンドを描くと予想しています。
グラフ3:米ISM製造業、非製造業景況指数とNYダウの推移

グラフ4:米失業率とNYダウの推移

金融市場動向
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