金融市場NOW

モディ新政権とインド経済について

2014年06月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

これまでのインド経済

グラフ1:インドの実質GDP成長率、卸売物価、政策金利

出所:ブルームバーグ、インド準備銀行のデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

インドの2014年第1四半期の実質GDP成長率は、4.6%と前期から横ばいとなりました。
インドの経済成長をみてみると、2008年のリーマン・ショック前には、9%台後半の高成長の水準にありましたが、リーマン・ショック後は急降下し、2009年第1四半期には、3.5%となりました。その後、経済成長率は、2010年第1四半期には、11.4%まで回復しましたが、長くは続かず、2012年第2四半期からは、4~5%で推移しています(グラフ1)。

グラフ2:インドの経常収支とインドルピー/円

出所:ブルームバーグ、インド準備銀行のデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

インド経済が低迷した原因として、以下の点が指摘されています。

  • 前政権において、インフラ整備計画の遅れや財政赤字、経常赤字や失業率の悪化などの問題が顕在化したこと
  • 国内物価が上昇し、景気が減速したこと
  • 景気減速により経常収支が悪化し、インドへの資本流入が停滞し、インドルピーが下落したこと(グラフ2)

などです。
国内物価の上昇やインドルピーの下落に対し、RBI(インド準備銀行)は、2013年9月から数回、政策金利の引上げを行っています。

モディ新政権への期待

政策金利の引き上げにより、実質長期金利は2.64%(5月時点)と高い水準にあり、インドルピーの上昇の下支えになっていると思われます。また、インド株式は、今年5月にスタートしたモディ新政権への期待から上昇しているとも考えられます。(グラフ3)
今後のインド経済の発展は、モディ新政権の改革にかかっていると思われます。モディ新首相が率いるBJP(インド人民党)のマニフェスト(政権公約)には、「交通、通信、エネルギー供給などのインフラを整備し、外国資本を呼び込み、新たな産業を育成して雇用を創出する」とあります。製造業の育成や外資参入の規制緩和が期待されます。また、7月の2014年度(14年4月~15年3月)の予算案の発表も注目されています。
モディ新政権の改革が実行に移されるにつれ、海外投資家の資本流入が増加し、インド経済の成長率の底上げも可能ではないかと考えられます。インド経済の発展とともに、インド株式は中長期的に上昇基調をたどると思われます。

グラフ3:インドの実質・名目金利とインドルピー/円、インド株式(1)

※実質長期金利=名目長期金利(10年国債利回り)-卸売物価(前年比)、インド株式:S&PムンバイSENSEX指数
出所:ブルームバーグ、インド準備銀行のデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:インドの実質・名目金利とインドルピー/円、インド株式(2)

出所:ブルームバーグ、インド準備銀行のデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

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