金融市場NOW

米国住宅市場にみる米国経済動向について

2014年04月28日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

今回は、米国住宅市場の状況から米国経済の動向をみてみました。
第1四半期の米国住宅市場は、寒波の影響を大きく受けたと思われます。建築業者も屋外が凍っている時期には建物を着工しないでしょうし、雪の積もる中を歩きまわって家を探す人も少ないでしょう。春になり暖かくなるにつれ、住宅販売も回復する可能性があると思われます。

グラフ1:FFレート、住宅ローン金利、国債(10年)金利の推移

出所:ブルームバーグ、米国国勢調査局、全米不動産業者協会(NAR)のデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成

直近の米国住宅市場には逆風もあります。 1つ目は、金利水準です。住宅ローン金利(30年、固定)は、2014年3月は4.43%と、前年3月の3.70%より0.73%高い水準にあります(グラフ1)。グラフ2は、住宅ローン金利(30年、固定)と全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請指数の推移です。昨年の4月以降、住宅ローン金利の上昇に伴い、MBA住宅ローン申請指数が下落しています。

もう1つは住宅価格。S&Pケース・シラー総合指数をみると、2014年1月は前年比13.24%の上昇となっています。住宅着工件数は横ばいの推移です(グラフ3)。

グラフ2:MBA住宅ローン申請指数、住宅ローン金利の推移

出所:ブルームバーグ、米国国勢調査局、全米不動産業者協会(NAR)のデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:住宅着工件数とS&P/ケース・シラー総合指数(前年比)の推移

出所:ブルームバーグ、米国国勢調査局、全米不動産業者協会(NAR)のデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ4:新築住宅販売件数と中古住宅販売件数の推移

出所:ブルームバーグ、米国国勢調査局、全米不動産業者協会(NAR)のデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成

現在の米国住宅市場は、住宅ローン金利が上昇し、住宅価格が上昇した後であり、春になり気候が暖かくなり、住宅物件が動き出したとしても、住宅市場の回復は緩やかなものになるのではないかと思われます。

グラフ4は、新築住宅販売件数と中古住宅販売件数の推移です。新築住宅販売件数は横ばいからやや増加となっていますが、中古住宅販売件数は、昨年11月以降、減少傾向です。

今後、米国住宅市場が最も大きな影響を受けると考えられるのは、米国金利の動向です。イエレン米連邦準備制度理事会 (FRB)議長は、早期のゼロ低金利政策の解除については、慎重な姿勢をみせています。

3月31日のシカゴでの講演会において、「今の米国経済は回復してはいるが、多くの米国人にとっては依然として、"リセッションの最中"にいるような感覚であり、いくつかの経済統計も今がまだリセッションの最中のように見える」とコメントしています。また、4月16日のニューヨーク市内での講演でも、「ゼロ金利政策が継続される期間も長引く」と述べ、状況によってゼロ金利が長期化する可能性を示唆しています。

今後の米国住宅市場は、米国金利の推移に影響を受ける可能性があるものの、米国金利が早期に急上昇しない限り、堅調さを維持するものと考えています。そして、住宅市場の回復とともに米国経済も緩やかに回復していくものと思われます。

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