金融市場NOW

新興国に翻弄された2014年第1四半期の世界株式市場

2014年04月22日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2014年第1四半期(1~3月)の世界の株式市場の動向を見てみましょう。
結論として、新興国を巡る懸念が、2014年第1四半期も継続したといわざるをえないと思われます。
1月下旬には、アルゼンチン・ペソが急落し、その影響で南アフリカ・ランドやトルコ・リラも売られました。ブラジルは、1月15日に政策金利を0.5%引上げ、10.5%とし、通貨防衛、資金逃避回避、国内インフレ防止を行ないました。
アジアではタイの政情不安が生じたことや東ヨーロッパでは、ソチ五輪期間中にウクライナ問題が勃発し、ロシアが乗り出したこと等政治的混乱が生じました。

グラフ1:先進国、エマージング国株式指数の推移

出所:ブルームバーグのデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成

また、中国では、再び理財商品やシャドウバンキングへの懸念が広がり、金融システム不安が加速しました。
MSCIワールド指数(先進国の株式指数)とMSCIエマージングマーケット指数(エマージング諸国の株式指数)をみると、2014年第1四半期の騰落率は、MSCIワールド指数が+0.8%とMSCIエマージングマーケット指数は-0.8%となりました。先進国の株式指数は上昇、新興国の株式指数は下落となりました(グラフ1)。

グラフ2:BRICS諸国の株式指数の推移

出所:ブルームバーグのデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成
※BRICS諸国の株式指数
南アフリカ: FTSE/JSE アフリカ全株指数
インド: S&PムンバイSENSEX指数
中国:上海総合指数
ブラジル:ブラジル ボベスパ指数
ロシア:ロシア RTS指数

また、BRICS諸国の株式指数も動きがまちまちな展開となりました。インドや南アフリカは引き続き堅調な推移となったものの、ロシア、ブラジル、中国については、下落の動きとなりました(グラフ2)。

グラフ3:先進各国の株式指数の推移

出所:ブルームバーグのデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成

先進国の株式指数も様々な動きをしました。日本株式(TOPIX)の2014年第1四半期の騰落率は-7.6%とアベノミクスでの株式上昇の反動安と消費増税への懸念等から下落しました。

米国株式(S&P500)の2014年第1四半期の騰落率は+1.3%。第1四半期の前半は、大雪などの天候要因から景気が冷え込むとの懸念が生じたものの、第1四半期を通してみると堅調なトレンドは不変でした。ウクライナを巡る危機は、地政学的に欧州に近いところで生じたこともあり、欧州株式にはマイナス材料でしたが、2014年第1四半期のドイツ株式(DAX)の騰落率は+0.04%とプラスとなりました(グラフ3)。

2014年第1四半期は、新興国での材料が市場動向を翻弄した結果となりました。しかし、その中の1つであるウクライナ情勢等は、クリミア半島に限定される地政学的なリスクという面もあることやG20など国際協調もあり世界経済全体に及ぼす影響は一時的なものと思われます。

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。