金融市場NOW
最近のユーロ圏の金融・経済動向について
2014年04月18日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
グラフ1:ユーロ圏の政策金利とベースマネーの推移

欧州中央銀行(ECB)は4月3日の理事会で政策金利を年0.25%で据え置くことを決定しました(グラフ1)。ECBのドラギ総裁は「ゆるやかな景気回復が続いている」との認識を示しつつ、「ユーロ圏をデフレの脅威から守るため、様々な措置を講じる」とし、「責務の範囲内で非伝統的手段を採用することもある」としたうえで、「量的緩和(QE)についても理事会で話し合った」と述べました。
グラフ2:ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)(前年比)の推移

最近のユーロ圏の経済状況で顕著なのは、"物価が上がらない"ことです。消費者物価上昇率は、じわじわと低下し、3月の消費者物価上昇率(前年同月比)は0.5%となりました。6ヵ月連続で1%を割り込んだこととなり、ECBの政策目標である「2%未満、その近辺」という水準を大幅に下回るものとなりました。
また、ドイツの同消費者物価上昇率は1.0%、イタリアの同消費者物価上昇率は0.3%、スペインの同消費者物価上昇率は-0.2%といずれの国の消費者物価上昇率も前月に比べ低下しています(グラフ2)。
ドラギ総裁は、この"極めて低い"物価水準が続く状態"について、いくつかの原因をあげています。
- ユーロ高
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ユーロ/ドルは、1ユーロ=1.38ドル前後にまで上昇し、エネルギー価格等の輸入物価を押し下げるなどの要因となっています。
- 高失業率
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「高失業率が長引けば長引くほど、構造的になる可能性が高まるでしょう。つまり、失業率は低下しにくくなり、伝統的な政策措置によって低下させることが極めて難しくなることでしょう」と言及しています。
- ウクライナ情勢
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「地政学リスク」と説明し、懸念材料にあげています。特に、ロシア経済の先行きとユーロ圏への影響を懸念しています。今回のロシアに対する欧米の制裁措置が引き金となり、ロシア経済が失速すれば、ユーロ圏製造業などが痛手を被ることを懸念しているようにも思われます。
グラフ3:ユーロ圏(サービス業)とドイツの景況感指数の推移

しかし、経済データからは、極めて低い物価水準がこのまま続くとは必ずしもいえないと思われます。ユーロ圏サービス景況感指数(3月)は前月比+1.2の102.4、ドイツ経済研究所(IFO)全独企業景況感指数(3月)は前月比-0.6の110.7と高水準を維持しています(グラフ3)。
金融市場動向
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