金融市場NOW

IMFの世界経済見通しについて(2014年4月時点)

2014年04月10日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

IMF(国際通貨基金)は4月8日に世界経済見通し(2014年4月時点)を改定し発表しました(表1、グラフ1)。

2014年の世界の経済成長率見通しを3.7%(2014年1月時点)から3.6%に0.1%下方修正、2015年の予測を4%(2014年1月時点)から3.9%に0.1%下方修正しました。主にウクライナ情勢の緊迫等による新興国経済の回復の遅れやユーロ圏のデフレ圧力への警戒等を下方修正の理由にあげています。

地域別にみてみましょう。

表1:IMFの世界経済見通し(実質GDP成長率)

(単位:%)

※1 インドは年度ベース
※2 ASEANは5ヵ国、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム
出所:IMFのデータより、ニッセイアセットマネジメントが作成
  12年 13年 14年 見通し 15年 見通し 14年 (14年 1月 見通し との 差異) 15年 (14年 1月 見通し との 差異)
世界 3.2 3.0 3.6 3.9 -0.1 -0.1
先進国 1.4 1.3 2.2 2.3 0.0 0.0
米国 2.8 1.9 2.8 3.0 0.0 0.0
ユーロ圏 -0.7 -0.5 1.2 1.5 0.1 0.1
ドイツ 0.9 0.5 1.7 1.6 0.2 0.1
日本 1.4 1.5 1.4 1.0 -0.3 0.0
新興国 5.0 4.7 4.9 5.3 -0.2 -0.1
中東欧 3.4 2.1 2.3 3.0 -0.3 0.1
ロシア 3.4 1.3 1.3 1.3 -0.6 -0.2
アジア 6.7 6.5 6.7 6.8 0.0 0.0
中国 7.7 7.7 7.5 7.3 0.0 0.0
インド※1 4.7 4.4 5.4 6.4 0.0 0.0
ASEAN※2 6.2 5.2 4.9 5.4 -0.2 -0.2
中南米他 3.1 2.7 2.5 3.0 -0.4 -0.3
ブラジル 1.0 2.3 1.8 2.7 -0.5 -0.2
メキシコ 3.9 1.1 3.0 3.5 0.0 0.0
中東・ 北アフリカ 他 4.2 2.4 3.2 4.4 -0.1 -0.4
サハラ 以南 アフリカ 4.9 4.9 5.4 5.5 -0.7 -0.3
南アフリカ 2.5 1.9 2.3 2.7 -0.5 -0.6
(ご参考) 豪州 - 2.4 2.6 2.7 - -

先進国の経済成長率見通しを、2014年は2.2%、2015年を2.3%と予測しています。
特に、米国の経済成長率見通しを、2014年は2.8%、2015年を3.0%と予測しています。米国の経済回復が世界経済の追い風になってくると予測しています。また、ユーロ圏経済は財政赤字が重しとなりマイナス成長を続けてきましたが、2014年から景気後退から抜け出し「調整から回復」の過程に入り、ドイツ中心に個人消費が回復し始めていることに着目し、経済成長率見通しを、2014年は1.2%、2015年を1.5%と予測しています。日本については、2014年の経済成長率見通しを1.4%、2015年を1.0%と予測しています。2014年1月時点よりも、2014年は0.3%下方修正しています。財政赤字の日本経済への圧迫や消費増税等を主な理由としてあげています。

新興国の経済成長率見通しを、2014年は4.9%、2015年を5.3%と予測しています。2014年1月時点よりも2014年は0.2%下方修正、2015年は0.1%下方修正しています。特に、ウクライナ情勢の緊迫化が予想されるロシアについては、2014年の経済成長率見通しを0.6%下方修正し1.3%としました。高インフレ、資本流出が続き、通貨防衛のため利上げを続けるブラジルについては、2014年の経済成長率を0.5%下方修正し1.8%としました。
IMFは新興国について、地政学的リスクや国内経済の弱さが引き続き懸念されるとしながらも、先進国の成長が力強さを増すことで輸出が回復し、新興国の成長を押し上げる可能性があるとしています。また、一部の国では金融政策が景気の下支えになると見ています。

グラフ1:IMFの主要国の実質GDP成長率見通し(2014年、2015年)

出所:IMFのデータより、ニッセイアセットマネジメントが作成

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