金融市場NOW

金融政策決定会合後の国内株式市場等の動向

2014年02月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

金融政策決定会合の内容

日銀は17・18日の金融政策決定会合で、「成長基盤強化を支援するための資金供給」と「貸出増加を支援するための資金供給」について、貸出支援基金の規模を2倍に広げるとともに、期間を1年間延長することを決めました(※)。金融機関が企業や個人に融資しやすい環境を作り、お金が実体経済にも流れ込むよう刺激する狙いがあるものと思われます。

金融政策運営については、「マネタリーベース(日銀が供給する通貨)が年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」方針を据え置くとともに、長期国債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)などの資産買い入れ方針を継続する(買入れ枠等の変更なし)としています。

黒田日銀総裁は、会合後の会見で、金融政策運営については「リスクが顕在化するといったことがあれば、躊躇なく現在の量的・質的金融緩和の調整を行うことになろう」と述べています。追加緩和策発動の可能性を含む発言となっています。

融資支援の内容

  • 貸し出しを増やした金融機関に対して、日銀が0.1%と低い金利で融資する(従来通り)。今年3月が終了予定とされていた期間を1年延長する。
  • 「成長融資」、「貸出増加」に関し、それぞれ以下の対応を行う。
  • 「成長融資」・・・エネルギー等成長分野に融資した銀行への低利融資枠を3.5兆円から7兆円に倍増させる。1行あたりの支援枠を1500億円から1兆円に引き上げる。
  • 「貸出増加」・・・貸出を増やした銀行への日銀からの融資上限を来年度から貸出増加額の2倍まで認め、目標額を15兆円から30兆円に引き上げる。

市場の反応

今回の金融政策決定会合の結論は、現状維持に留まるとの見方が多かっただけに、市場にサプライズ(驚き)を与える格好となりました。18日の日経平均株価は前日比450円上昇、上げ幅は約6ヵ月半ぶりの大きさとなりました。同日の為替市場では、一時1円程度円安・ドル高が進みました。J-REIT市場(東証REIT指数)も続伸しました。19日、日経平均は反落したものの、下げ幅は76円に留まっています。

今後の見通し

新興国の通貨や株式市場は足元回復傾向となっています。株式市場等にとってマイナス材料となっていた成長鈍化を懸念させるような米国の経済指標についても、大寒波の影響による一時的なものとの見方が増えているようです。1月23日のアルゼンチン・ペソ急落をきっかけとしたリスク回避の流れは一段落しつつあるように思われます。

今週22日に予定されている20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で先進国と新興国の協調が確認できれば、更に市場は落ち着き、投資家はリスクオンの動きを強める可能性もあると考えています。

個人投資家は、NISAがスタートした1月に国内株式を約1.4兆円(1部・2部等の合計)買い越しました(月間で過去最高額)。待機性の強い資金が集まるとされるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)には10兆円近くのお金が滞留していると見られています。

今後、底打ち感が強まれば、個人投資家の更なる投資等により、国内株式やJ-REIT市場は回復傾向を強める可能性があると判断しています。

グラフ1:新興国通貨の動向

出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:新興国株式の動向

出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ3:日経平均と為替(円/米ドル)の動向

出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ4:J-REIT市場と10年国債金利の動向

出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

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