金融市場NOW
田中将大投手(マー君)効果と日米経済動向について
2014年01月30日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
1月23日、「Tanaka reportedly accepts offer from Yankees.(田中将大(以下、マー君)ニューヨーク・ヤンキースのオファーを受け入れた)」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)というニュースがありました。
「Tanaka signs $155 million contract with Yankees Pitcher's seven-year contract includes opt-out clause that can be exercised after 2017」
契約期間は7年。契約金は1億5,500万ドル(161億2,000万円、1ドル=104円で換算)。年間約23億円。この契約には4年終了後、(2017年シーズン終了後)に、「an opt-out clause」(適用除外選択条項)が付加されています。これは、過去のメジャーリーグでの日本人の契約金では最高額(推定年棒を基にランキング)です(グラフ1)。
また、ニューヨーク・ヤンキースは、楽天球団に2,000万ドルをポスティング料として支払うことになります。これを含め、フリーエージェントの投手に支払う契約金としては史上最高額とのこと。マー君の昨年の成績は、日本プロ野球のパリーグ公式戦で24勝0敗1セーブ、防御率1.27の記録を達成、楽天球団をパリーグ優勝と日本シリーズ制覇に導き、胴上げ投手となっています。まさしく、「東北の星、日本の至宝」です。
東日本大震災で被災した多くの東北の方々が彼の活躍で勇気づけられたことでしょう。
マー君のヤンキース移籍の経済効果を考えてみましょう。実質的には、技術移転を伴う輸出のようなもので、対価として外貨を獲得したこととなります。為替市場では、少なくとも円買いドル売り要因で、少なくとも、楽天球団に支払われるポスティング料の2,000万ドル分の円買いは2014年中には生じると思われます。
日本国内でのマー君グッズの売り上げは当初減少するでしょうが、ニューヨークでは販売増となりヤンキースは収益増となると考えられ、米国景気にプラスになると思われます。また、日本でもメジャー人気は高まると考えられ、日本からの観戦ツアーも増加し、日本での関連グッズの売り上げ拡大も見込まれるでしょう、日本経済にもプラスの効果をもたらすものと思われます。マー君がニューヨークに持っていくという"ももクロ"(ももいろクローバーZ)のDVDも人気が出るかもしれません。
今回、興味深いのは、マー君のヤンキース移籍の契約金について、あまり大げさには取り上げられないことです。なぜでしょうか?
それは、マー君が「陰徳の投手」で、東北のために戦っていることをみんなが誇りに思っているからなのでしょう。
"陰徳"とは、人に知られないところで善行を積んでいること。野球にも、野球の神様がいて、その人の行為と努力を陰から見ているかもしれません。
「いってこい田中、そして、見せましょう、東北の底力を!!」
グラフ1:2013年、米メジャーリーグ、日本プロ野球推定年棒ランキング(含む2014年、田中将大契約年棒)

金融市場動向
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