金融市場NOW

1月効果にみる2014年の日米株式相場の動向について

2014年01月08日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

1月効果(January Effect)とは、1月の月次騰落率とその年の年間騰落率のプラス/マイナスが同じとなる傾向が高いという市場のアノマリー※です。
NYダウの1月効果を1971年から2013年までの期間で検証してみた結果、NYダウにおいては、83.7%という高い確率で1月効果が当てはまりました。直近3年間は3年連続で1月効果が当てはまっています。 逆に、当てはまらなかった年(1974年、1982年、1998年、2001年、2003年、2009年、2010年)は、年間変動が大きく、1月の月次騰落率の変動を年間騰落率の変動が大きく上回った年でした。(表1)

表1:NYダウの1月の月次騰落率と年間騰落率(%)

(期間:1971~2013年)

  1月騰落率 年間騰落率 1月効果
1971年 3.5 6.1
1972年 1.3 14.6
1973年 ▲ 2.1 ▲16.6
1974年 0.6 ▲27.6  
1975年 14.2 38.3
1976年 14.4 17.9
1977年 ▲ 5.0 ▲17.3
1978年 ▲ 7.4 ▲3.1
1979年 4.2 4.2
1980年 4.4 14.9
1981年 ▲ 1.7 ▲9.2
1982年 ▲ 0.4 19.6  
1983年 2.8 20.3
1984年 ▲ 3.0 ▲3.7
1985年 6.2 27.7
1986年 1.6 22.6
1987年 13.8 2.3
1988年 1.0 11.8
1989年 8.0 27.0
1990年 ▲ 5.9 ▲4.3
1991年 3.9 20.3
1992年 1.7 4.2
1993年

0.3

13.7
1994年 6.0 2.1
1995年 0.2 33.5
1996年 5.4 26.0
1997年 5.7 22.6
1998年 ▲0.0 16.1  
1999年 1.9 25.2
2000年 ▲4.8 ▲6.2
2001年 0.9 ▲7.1  
2002年 ▲1.0 ▲16.8
2003年 ▲3.5 25.3  
2004年 0.3 3.1
2005年 ▲2.7 ▲0.6
2006年 1.4 16.3
2007年 1.3 6.4
2008年 ▲4.6 ▲33.8
2009年 ▲8.8 18.8  
2010年 ▲3.5 11.0  
2011年 2.7 5.5
2012年 3.4 7.3
2013年 5.8 26.5
平均 1.5 8.5 83.7%
出所:ブルームバーグのデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成

同様に、日経平均株価についても同期間(1971年から2013年まで)の検証を行ってみました。日経平均株価においても、72.1%という高い確率で1月効果が当てはまりました。直近2年間は2年連続で1月効果が当てはまっています。
逆に、当てはまらなかった年(1974年、1986年、1995年、1996年、1998年、2000年、2001年、2003年、2005年、2007年、2009年、2011年)は、1995年、1996年を除いて、年間変動が大きく、1月の月次騰落率の変動を年間騰落率の変動が大きく上回る年でした。(表2)

表2:日経平均株価の1月の月次騰落率と年間騰落率(%)

(期間:1971~2013年)

  1月騰落率 年間騰落率 1月効果
1971年 5.7 36.6
1972年 5.3 91.9
1973年 ▲0.8 ▲17.3
1974年 3.3 ▲10.9  
1975年 3.1 13.2
1976年 7.3 14.9
1977年 ▲0.6 ▲2.5
1978年 5.1 23.4
1979年 3.5 9.5
1980年 3.0 7.5
1981年 2.7 8.8
1982年 3.1 4.4
1983年 1.1 23.4
1984年 3.1 16.7
1985年 3.9 13.3
1986年 ▲0.5 43.9  
1987年 6.5 14.6
1988年 9.5 39.9
1989年 4.7 29.0
1990年 ▲4.4 ▲38.7
1991年 ▲2.3 ▲3.6
1992年 ▲4.2 ▲26.4
1993年 0.6 2.9
1994年 16.1 13.2
1995年 ▲5.4 0.7  
1996年 4.8 ▲2.6  
1997年 ▲5.3 ▲21.2
1998年 9.0 ▲9.3  
1999年 4.7 36.8
2000年 3.2 ▲27.2  
2001年 0.4 ▲23.5  
2002年 ▲5.2 ▲18.6
2003年 ▲2.8 24.5  
2004年 1.0 7.6
2005年 ▲0.9 40.2  
2006年 3.3 6.9
2007年 0.9 ▲11.1  
2008年 ▲11.2 ▲42.1
2009年 ▲9.8 19.0  
2010年 ▲3.3 ▲3.0
2011年 0.1 ▲17.3  
2012年 4.1 22.9
2013年 7.2 56.7
平均 1.6 8.1 72.1%
出所:ブルームバーグのデータをもとに、ニッセイアセットマネジメントが作成
  • アノマリーとは、合理的には説明できないが、よく当たるとされている経験則のことで、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。

検証結果から、「1月の動向をみてからついていく」という投資アイデアが思いつきます。例えば、「1月の月次騰落率がプラスであれば、"買い"でついていく」という感じです。
しかし、注意すべき点もあります。それは、1月の月次騰落率が大きく変動した時です。1987年のNYダウの例では、1月の月次騰落率は+13.8%と大きく上昇したものの、10月には、"ブラックマンデー"の暴落を経験し年間騰落率は+2.3%でした。1月末にNYダウの指数を購入し12月末に売却したとすると-10.2%となりました。
そして、もう1つ注目したいのは、年間騰落率が連続してプラス(マイナス)で推移してきた後に1月の月次騰落率がマイナス(プラス)となった時は、相場の転換点になっていることがあるという点です。日経平均株価の1990年の例では、前年までの年間騰落率が連続してプラスであった後、1月の月次騰落率が-4.4%となり、1990年の年間騰落率は-38.7%と長期上昇相場から下落相場への転換点となりました。

このように、1月効果は、1つの市場のアノマリーではありますが、いろいろな示唆を与えてくれるものでもあります。さて、この1月はいかに???

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