金融市場NOW
グローバル・インバランスからみた世界経済
2013年12月06日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
グラフ1:世界の経常収支バランスの推移

グローバル・インバランスとは、世界的な経常収支不均衡を指します。 世界のマネーフローを分析する上で注目される概念です。現在のグローバル・インバランスをみると、世界最大の経済大国、米国の経常赤字を世界各国がファイナンスする形となっています。(グラフ1)
グラフ2:米国の政府債務、経常収支の推移

米国は、双子の赤字といわれるように、財政赤字と経常赤字を抱え、財政赤字を埋めるために米国国債を海外の国々に購入してもらっています。この世界的なマネーフローによる均衡が崩れると市場リスクが増大する(金融危機が発生する)要因になると考えられます。(グラフ2)
そこで、FRB(米連邦準備制度理事会)は量的緩和(QE)を実施し、マネタリーベースを増やし、マネーフローが滞らないようにするとともに、世界のリスク資産への資金供給にも貢献してきました。また、国内景気、特に住宅市場の回復を促すため、買いオペにより市中から国債を購入し、国債利回り(長期金利)の上昇を抑制してきました。日本銀行も昨年後半から同じような量的緩和を行ない、デフレ脱却に向け、マネー供給を継続しています。(グラフ3)
グラフ3:日米マネタリーベースと金融当局の国債保有額の推移

現在の世界的なマネーフローによる均衡が崩れると考えられるケースには、米国の政府債務上限問題や量的緩和の縮小開始などにより、長期金利が急上昇し、国や投資家が一斉に米国国債を売却し、米ドル安となる場合などがあります。現在は、量的緩和をできるだけ先延ばしし、長期金利の急上昇を抑制し、米ドル高政策により米ドルの価値を持続することで、米ドルからの急激なマネー逃避が生じないように緩やかに市場を管理しているように思われます。(グラフ4、5)
グラフ4:各国の米国国債保有額とドル円の推移

グラフ5:日米政府債務と国債利回りの推移

金融市場動向
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