金融市場NOW

薄型テレビにみる日本の経済動向

2013年12月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

ポイント

  • 日本の情報通信機械工業の生産・在庫動向をみると、景気循環的なボトムをつけ、景気回復過程に入りつつあると考えられます。
  • 昨年、大きく落ち込んだ薄型テレビの出荷台数が増加しています。特に、37型以上の大型サイズが大幅増となっています。今夏から各社が本格投入した「4Kテレビ」が寄与しており、クリスマス商戦でも期待されています。
  • "アベノミクス"による景気回復により、"資産効果"が表れてきていると思われます。今後、日本経済全体へ波及することを期待したいところです。

景気循環の1つである在庫循環をみる上で、情報通信機械工業の生産・在庫指数に着目し、情報通信機械工業の代表的な品目である薄型テレビの出荷動向をみてみました。

グラフ1:情報通信機械工業の生産・在庫指数の動向

出所:ブルームバーグ、経済産業省、JEITA(電子情報技術産業協会)のデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

まず、情報通信機械工業の生産、在庫指数の動向をみてみましょう。2008年のリーマンショック以後、在庫循環からみると、景気後退期に入り、低迷を続けていました。しかし、2013年には、景気後退局面を脱し景気回復過程に入りつつあると考えられます。(グラフ1)

グラフ2:民間機器、薄型テレビの出荷動向(前年比)

出所:ブルームバーグ、経済産業省、JEITA(電子情報技術産業協会)のデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

次に、薄型テレビの出荷動向をみてみましょう。JEITA(電子情報技術産業協会)の統計をみると、昨年、大きく落ち込んだ薄型テレビの国内出荷台数が、持ち直してきています。特に、37型以上の大型サイズの薄型テレビの出荷台数が10月には15万2千台(前年比21.6%増)と大きく回復しています。今夏からメーカー各社が本格投入した「4Kテレビ」が寄与していると考えられます。「4Kテレビ」は、パネルの画素数がフルハイビジョンの4倍で高精細な映像を楽しめるテレビです。メーカー各社とも、このクリスマス商戦で「4Kテレビ」の販売増を期待しています。(グラフ2)

グラフ3:東京マンション販売戸数、東京百貨店売上高、新築着工件数、新車販売台数の推移(前年比)

出所:ブルームバーグ、経済産業省、JEITA(電子情報技術産業協会)のデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

「4Kテレビ」の出荷が好調な理由として、"アベノミクス"による景気回復で"資産効果"が生じてきていることが考えられます。また、消費増税前のマンションや住宅購入等の駆け込み需要によるテレビの買い替え需要もあると考えられます。東京のマンション販売戸数、百貨店売上高、全国の新築着工件数、新車販売台数が増加してきていることからも、"資産効果"が生じてきていると思われます。(グラフ3)

"アベノミクス"による景気回復による、"資産効果"が、富裕層による高額商品への需要の増加だけではなく、今後、日本経済全体へ波及することを期待したいところです。

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