金融市場NOW
米大統領選挙サイクルからみる米国株式の動向について
2013年11月25日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
10月には、米国において、財政をめぐる議会の駆け引きで政府機関が一時閉鎖に追い込まれたこともあり、市場では、政治要因等が注目されています。 政治と株式相場の関連性を示す株式市場の傾向の1つに、「米大統領選挙サイクル」というのがあります。米国の大統領選挙は4年毎に行われ、その周期と株式相場が、関連性のある動き方をするといわれています。 4年周期でNYダウの年間騰落率(平均)を見てみると、大統領就任1年目、2年目の上昇率は小さく、3年目、4年目の上昇率が大きくなっています(表1)。
表1:米大統領就任期のNYダウの年間騰落率
年間騰落率(%) | 1年目(5年目) | 2年目(6年目) | 3年目(7年目) | 4年目(8年目) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
中間選挙 | 本選挙 | ||||||||
共和党 | Tルーズベルト | 1901 | ▲ 8.7 | 1902 | ▲ 0.4 | 1903 | ▲ 23.6 | 1904 | 41.9 |
Tルーズベルト | 1905 | 38.2 | 1906 | ▲ 1.9 | 1907 | ▲ 37.7 | 1908 | 46.6 | |
W.H.タフト | 1909 | 15.0 | 1910 | ▲ 17.9 | 1911 | 0.4 | 1912 | 7.6 | |
民主党 | W.ウィルソン | 1913 | ▲ 10.4 | 1914 | ▲ 5.1 | 1915 | 32.7 | 1916 | ▲ 4.2 |
W.ウィルソン | 1917 | ▲ 21.7 | 1918 | 10.5 | 1919 | 30.5 | 1920 | ▲ 32.9 | |
共和党 | W.ハーディング/ C.ケーリッジ |
1921 | 12.7 | 1922 | 21.7 | 1923 | ▲ 3.3 | 1924 | 26.2 |
C.ケーリッジ | 1925 | 30.0 | 1926 | 0.4 | 1927 | 28.8 | 1928 | 48.2 | |
H.フーバー | 1929 | ▲ 17.2 | 1930 | ▲ 33.8 | 1931 | ▲ 52.7 | 1932 | ▲ 23.1 | |
民主党 | F.D.ルーズベルト | 1933 | 66.7 | 1934 | 4.1 | 1935 | 38.5 | 1936 | 24.8 |
F.D.ルーズベルト | 1937 | ▲ 32.8 | 1938 | 28.1 | 1939 | ▲ 2.9 | 1940 | ▲ 12.7 | |
F.D.ルーズベルト | 1941 | ▲ 15.4 | 1942 | 7.6 | 1943 | 13.8 | 1944 | 12.1 | |
トルーマン | 1945 | 26.7 | 1946 | ▲ 8.1 | 1947 | 2.2 | 1948 | ▲ 2.1 | |
トルーマン | 1949 | 12.9 | 1950 | 17.6 | 1951 | 14.4 | 1952 | 8.4 | |
共和党 | アイゼンハワー | 1953 | ▲ 3.8 | 1954 | 44.0 | 1955 | 20.8 | 1956 | 2.3 |
アイゼンハワー | 1957 | ▲ 12.8 | 1958 | 34.0 | 1959 | 16.4 | 1960 | ▲ 9.3 | |
民主党 | ケネディ/ジョンソン | 1961 | 18.7 | 1962 | ▲ 10.8 | 1963 | 17.0 | 1964 | 14.6 |
ジョンソン | 1965 | 10.9 | 1966 | ▲ 18.9 | 1967 | 15.2 | 1968 | 4.3 | |
共和党 | R.ニクソン | 1969 | ▲ 15.2 | 1970 | 4.8 | 1971 | 6.1 | 1972 | 14.6 |
R.ニクソン/G.フォード | 1973 | ▲ 16.6 | 1974 | ▲ 27.6 | 1975 | 38.3 | 1976 | 17.9 | |
民主党 | J.カーター | 1977 | ▲ 17.3 | 1978 | ▲ 3.2 | 1979 | 4.2 | 1980 | 14.9 |
共和党 | R.レーガン | 1981 | ▲ 9.3 | 1982 | 19.6 | 1983 | 20.3 | 1984 | ▲ 3.7 |
R.レーガン | 1985 | 27.7 | 1986 | 22.6 | 1987 | 2.3 | 1988 | 11.9 | |
J.H.W.ブッシュ | 1989 | 27.0 | 1990 | ▲ 4.3 | 1991 | 20.3 | 1992 | 4.2 | |
民主党 | B.クリントン | 1993 | 13.7 | 1994 | 2.1 | 1995 | 33.5 | 1996 | 26.0 |
B.クリントン | 1997 | 22.6 | 1998 | 16.1 | 1999 | 25.2 | 2000 | ▲ 6.2 | |
共和党 | J.W.ブッシュ | 2001 | ▲ 7.1 | 2002 | ▲ 16.8 | 2003 | 17.5 | 2004 | ▲ 1.6 |
J.W.ブッシュ | 2005 | ▲ 0.6 | 2006 | 16.3 | 2007 | 6.4 | 2008 | ▲ 33.8 | |
民主党 | B.オバマ | 2009 | 18.8 | 2010 | 11.0 | 2011 | 5.5 | 2012 | 7.3 |
B.オバマ | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | |||||
平均(1900-2012) | 5.5 | 4.0 | 10.4 | 7.3 |
また、大統領の就任期間毎のNYダウの年間騰落率(平均)を1953年以降(米国合衆国憲法修正第22条により、1951年2月27日以降、1人の大統領の任期を10年までとした最初のアイゼンハワー大統領から)、2012年までの大統領就任期間毎のNYダウの年間騰落率(平均)をみてみると、3年目と7年目上昇率が大きくなっています。3年目、7年目は、大統領選挙の前年ということもあり、選挙を有利にするために政府が経済政策などに力を入れることが多いこと等が理由として考えられます(グラフ1)。同様に1953年以降2012年までの民主党、共和党政権時のNYダウの年間騰落率(平均)を比較すると、民主党政権時は+9.3%、共和党政権時は+6.5%となっています(グラフ2)。
グラフ1:米大統領の就任期間、年別NYダウ年間騰落率(平均)

グラフ2:民主党、共和党政権時のNYダウ年間騰落率(平均)

グラフ3:クリントン政権時とオバマ政権時のNYダウの推移

今回のオバマ政権は、前回の民主党政権であるクリントン政権時と似通った環境にあると思われます。双方とも、共和党ブッシュ政権(親・息子)からの引継ぎであること、クリントン政権は湾岸戦争(1990年8月)による戦費拡大で財政赤字が拡大し た後にスタートしたこと、オバマ政権は2008年のリーマン・ショック後に発足したこと等です。今後の米国株式の推移が注目されます(グラフ3)。
金融市場動向
関連記事
- 2025年02月20日号
- 機械学習の手法を活用しシクリカル株に投資(前編)
- 2025年01月23日号
- 成長性を評価する定量指標(1)
- 2025年01月17日号
- 【アナリストの眼】データが導くヘルスケアのイノベーション
- 2024年12月13日号
- 【アナリストの眼】食品企業の挑戦:インフレ継続をチャンスに変えられるか
- 2024年11月18日号
- 【アナリストの眼】KDDIがローソンと挑む「ソーシャル・インパクト」は、株主の期待に応えられるか?
「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。