金融市場NOW
節目を抜けた日経平均株価
2013年11月18日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
節目を抜けた日経平均株価
11月14日、日経平均株価が終値ベースで、市場参加者が意識していた1万4,800円と"三角持合い"を抜けました。7月18日の終値(14,808円)、9月26日の終値(14,799円)、10月22日の終値(14,713円)と14,800円のラインで3回跳ね返されていました。チャート上も"三角持合い"を上放れたことから、強気の見方が増えてきたと思われます(グラフ1)。
直近の日経平均株価の上昇の要因は以下の3点が考えられます。
- FRB(米連邦準備制度理事会)が事前に公表したイエレン次期FRB議長の銀行委員会公聴会での声明案が、景気に配慮した内容となっており、金融緩和縮小の早期開始懸念が大きく後退したこと。
- 7~9月期の機械受注(船舶・電力除く民需)の金額が約2.4兆円と、リーマン・ショックが起きた2008年7~9月以来の高水準となったこと。機械受注は設備投資の先行指標とされており、賃金上昇を含めた経済の好循環が生まれる可能性が高まったこと。
- 7~9月期の実質GDP(国内総生産)(速報)成長率が前期比年率1.9%と市場の予想を上回り、「アベノミクス」の効果が浸透し始めている可能性がでてきたこと。
グラフ1:日経平均株価の推移

今後の日経平均株価
米国の金融緩和縮小観測の後退を受け、リスクオンの動き(積極的にリスクを取りにいく動き)が強まってきました。ドル円相場は再び円安に進み、100円台の円安ドル高となりました。今後、円安による企業業績の増額修正期待が高まる可能性があります。
日経平均株価はこうした好環境を背景に、5月22日の年初来高値(終値ベース)、15,627円の更新を意識した動きになるものと思われます。
グラフ2:日経平均株価と一株当たり予想利益の推移

日経平均株価をベースとした予想1株利益(直近12か月)を見てみると、予想1株利益(直近12か月)は2008年2月のリーマン・ショック前の最高水準(871.58円)に近づきつつあります(2013年10月、690.40円)。当時の日経平均株価の高値は2007年7月9日の18,261円。米国の量的金融緩和継続、日銀の金融緩和継続、企業業績回復といった現在の好環境が続くのであれば、日経平均株価の18,000円台到達も視野に入ってくると考えられます(グラフ2)。
グラフ3:規模別指数(TOPIXベース)推移

また、物色対象の変化も見られます。 昨年11月以降のいわゆる"アベノミクス相場"では、時価総額が大きく流動性に富む大型株が上昇のけん引役でした。7月以降は売買高の低迷に伴い、値動きの軽い小型株に資金が向かっていました。しかし、先週から物色対象にも変化が見られ、再び大型株主体の相場展開となっています。今後は、大型株に対する外国人投資家の投資の活発化も想定され、上昇要因の1つになると考えられます(グラフ3)。
金融市場動向
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