金融市場NOW

米ドル円相場、“三角持合い”からの展開について

2013年11月13日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

三角持合い

グラフ1:米ドル円の推移

出所:ブルームバーグのデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

直近の米ドル円相場は、大きな三角持合いを形成しています。大きく、時間をかけた"持合い"は潜在的なエネルギーが溜まっていると考えられます。(グラフ1)
円安か円高か?この三角持合いをどちらの方向に抜けるかによって、今後の方向性が決まってくると思われます。5月以降の三角持合いの局面で、よく為替ディラーがつぶやいていた言葉(略語)があります。

  • 「OKY」…O(お前)、K(来て)、Y(やってみろ)
  • 「IKY」…I(いいから)、K(来て)、Y(やってみろ)
  • 「DMY」…D(だ)、M(まって)、Y(やってみろ)

ドル円相場は、ドル高にもいかず、かといってドル安にもならず、次第に値幅が小さくなる、といった展開でした。短期トレードが主体の為替ディラーたちにとってはなかなか利益をあげにくい相場だったのでしょう。
この三角持合いの相場。その要因は何だったのでしょうか?

材料の間隙(かんげき)を縫う

昨年9月から今年の5月までは、"アベノミクス"という日本サイドの大きな政策転換があり、相場の明確な材料となりました。しかし、5月以降は政策に振りまわされた感があります。5月の議会証言でバーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長が早い段階での量的緩和の縮小開始に言及しました。市場は、フォワード・ガイダンス(時間軸政策のことで、現状の金融政策をいつまで続けるかについて、金融当局が事前に表明すること)として受け止め、FRBが9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で量的緩和の縮小開始を決定するとみていました。ところが、9月のFOMCでは、量的緩和の縮小は延期されました。
一方、10月には、連邦債務上限問題で米国議会が紛糾しました。10月17日までに債務上限を来年2月7日まで引き上げ、一部閉鎖された政府機関は来年1月15日までの支出を暫定予算で手当てする法案を可決しました。
ドル円相場については、今後の米国の金融、経済、財政等の動向が大きな材料になると考えられます。

今後の米国、重要スケジュール

不安の中の回復

グラフ2:米ドル円とNYダウ、日本マネタリーベースの推移

出所:ブルームバーグのデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

"量的緩和縮小"や"連邦債務上限問題"が不安視される市場ではありますが、米国経済が想定通りに回復していれば、問題視されないと考えられます。景気回復に伴う金利上昇、株高であれば、"ドル高"要因と考えられます。また、日本は4月の消費増税の前に更なる金融緩和の可能性(日本のマネタリーベースは引き続き拡大)があります。米国経済については、財政の問題等のマイナス材料だけではなく、シェールガス革命やビッグデータを利用した新IT革命、電気自動車への移行に伴う生産革命などイノベーション(技術革新)の新たな芽が生まれてきています。このような材料がドル高要因になることもあると考えられます。(グラフ2)

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