金融市場NOW
直近の米国経済動向について
2013年11月12日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
ポイント
- 10月のISM製造業景況指数は56.4と前月の56.2から+0.2ポイント上昇しました。これは5ヵ月連続の上昇です。また、10月のISM非製造業景況指数は55.4と、前月の54.4から+1.0ポイント上昇しました。
- 9月の消費者物価指数(前年比)は前月から-0.3%の下落、消費者物価コア指数(前年比)も前月から-0.1%の下落となりました。
- 10月の雇用統計は、政府機関の一部閉鎖の影響が懸念されたものの、失業率は、7.3%と前月の7.2%からわずかながら上昇、非農業部門雇用者数は20.4万人増と市場の事前予想12万人増を上回りました。今回の雇用統計の内容からは、政府機関の閉鎖は民間の雇用に大きく影響しなかったと考えられます。
グラフ1:米ISM製造業、非製造業景況指数の推移

10月のISM製造業景況指数は56.4と前月の56.2から+0.2ポイント上昇しました。これは5ヵ月連続の上昇です。また、10月のISM非製造業景況指数は55.4と、前月の54.4から+1.0ポイント上昇しました。(グラフ1)
各項目別に見てみると(下図)、ISM製造業景況指数では、輸出と顧客在庫指数の増加が大きい一方、生産、雇用、価格指数は前月比マイナスとなりました。一方、ISM非製造業景況指数では、生産・販売、雇用、輸入指数の増加が大きかったものの、新規輸出受注、新規受注、価格、入荷遅延、受注残指数は前月比マイナスとなりました。
ISM製造業景況指数 | ISM非製造業景況指数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
10月 | 9月 | 前月比 | 10月 | 9月 | 前月比 | ||
指数 | 56.4 | 56.2 | 0.2 | 指数 | 55.4 | 54.4 | 1.0 |
新規受注 | 60.6 | 60.5 | 0.1 | 生産・販売 | 59.7 | 55.1 | 4.6 |
生産 | 60.8 | 62.6 | -1.8 | 新規受注 | 56.8 | 59.6 | -2.8 |
雇用 | 53.2 | 55.4 | -2.2 | 雇用 | 56.2 | 52.7 | 3.5 |
入荷遅延 | 54.7 | 52.6 | 2.1 | 入荷遅延 | 49.0 | 50.0 | -1.0 |
在庫 | 52.5 | 50.0 | 2.5 | 在庫 | 54.5 | 54.5 | 0.0 |
顧客在庫 | 47.0 | 43.0 | 4.0 | 価格 | 56.1 | 57.2 | -1.1 |
価格 | 55.5 | 56.5 | -1.0 | 受注残 | 50.0 | 50.5 | -0.5 |
受注残 | 51.5 | 49.5 | 2.0 | 新規輸出受注 | 53.0 | 57.5 | -4.5 |
輸出 | 57.0 | 52.0 | 5.0 | 輸入 | 55.0 | 51.5 | 3.5 |
輸入 | 55.5 | 55.0 | 0.5 | 在庫水準 | 62.5 | 62.0 | 0.5 |
グラフ2:米消費者物価、消費者物価コア指数の推移

9月の消費者物価指数(前年比)は前月から-0.3%の下落、消費者物価(食品・エネルギーを除く)コア指数(前年比)も前月から-0.1%の下落となりました。(グラフ2)
グラフ3:米雇用統計の推移

10月の失業率は、7.3%と前月の7.2%から上昇しました。非農業部門雇用者数は20.4万人増となり、市場予想の12万人増を上回りました。また、8月、9月分も上方修正され、直近3か月平均も20万人を超えました。(グラフ3)失業率の算定について、労働省の発表では、政府機関の一部閉鎖の影響で、家計調査対象期間中(10月6日~12日)に働いていなかった労働者は、給料の支給に関わらず失業者とみなすとのことでしたが、今回の雇用統計の内容からは、政府機関の閉鎖は民間の雇用に大きく影響しなかったと考えられます。但し、正常な状態での統計数字ではないこと、財政を巡る混乱は先送りされただけであること、景気の再加速は、量的緩和縮小の論議を再燃させる懸念があることなど、来月以降の指標に注視していく必要があります。
金融市場動向
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