金融市場NOW
アジア株式とアジア経済の動向について
2013年10月15日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
ポイント
- 今年の世界株式市場の特徴は、先進国株式と新興国株式の"デカップリング"(非連動)と言われています。この状況は、先進国株式とアジア株式においても同じです。先進国株式とアジア株式のパフォーマンスに格差が広がった理由として、1)中国経済のスローダウン、2)国際商品市況の低迷、3)米国の量的緩和縮小観測による資金フローの変化等があげられます。
- アジア主要国の直近の実質GDP成長率は、先進国に比べて高い水準にあり、アジア地域は、依然力強い"経済成長"の地域といえます。アジア株式もアジア地域の経済成長を先導する形で上昇していくものと考えられます。
グラフ1:先進国株式とアジア株式の推移

今年の世界株式市場の特徴は、先進国株式と新興国株式の"デカップリング"(非連動)と言われています。この状況は、先進国株式とアジア株式においても同様です。パフォーマンスの格差が広がった理由として、1)中国経済のスローダウン、2)国際商品市況の低迷、3)米国の量的緩和縮小観測による資金フローの変化等があげられます。(グラフ1)
先進国株式とアジア株式は、ともに6月25日近辺を安値に反転しました。中国の"シャドウ・バンキング問題"で一時、急上昇した市場金利が落ち着きを取り戻したことや米国の量的緩和縮小に対する懸念がバーナンキ議長の講演等から和らいだことなどが材料となりました。
表1:MSCI G7、MSCIアジア指数の年初来パフォーマンス
年初来 | ~6月25日 | 6月25日~9月末 | |
---|---|---|---|
MSCI G7 | 16.2% | 7.2% | 9.3% |
MSCIアジア | -2.5% | -12.2% | 10.9% |
アジア開発銀行(ADB)が10月2日に発表した「アジア経済展望」改訂版で、ADBはアジア太平洋地域(日本など一部先進国を除く)の2013年の実質GDP成長率を0.6%下方修正し、6%としました(2012年は6.1%)。但し、来年以降は、年6.2%の経済成長と経済の回復を予想しています。(表2)
表2:アジア主要国の経済見通し(アジア開発銀行)
2012年 | 2013年 (予想) | 2014年 (予想) | |
---|---|---|---|
アジア全体 | 6.1 | 6.0 | 6.2 |
中国 | 7.7 | 7.6 | 7.4 |
インド | 5.0 | 4.7 | 5.7 |
インドネシア | 6.2 | 5.7 | 6.0 |
タイ | 6.5 | 3.8 | 4.9 |
マレーシア | 5.6 | 4.3 | 5.0 |
フィリピン | 6.8 | 7.0 | 6.1 |
グラフ2:直近のアジア主要国の実質GDP成長率

アジア主要国の直近の実質GDP成長率は、先進国に比べて高い水準にあります。アジア地域は、依然力強い"経済成長"の地域といえます。新興国は、先進国の金融・財政政策の影響を受けながらも、中長期的には経済成長の軌道に乗っているものと思われます。アジア株式は、アジア地域の経済成長を先導する形で上昇していくものと考えられます。(グラフ2)
金融市場動向
関連記事
- 2025年02月20日号
- 機械学習の手法を活用しシクリカル株に投資(前編)
- 2025年01月23日号
- 成長性を評価する定量指標(1)
- 2025年01月17日号
- 【アナリストの眼】データが導くヘルスケアのイノベーション
- 2024年12月13日号
- 【アナリストの眼】食品企業の挑戦:インフレ継続をチャンスに変えられるか
- 2024年11月18日号
- 【アナリストの眼】KDDIがローソンと挑む「ソーシャル・インパクト」は、株主の期待に応えられるか?
「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。