金融市場NOW

日本の物価動向について

2013年10月03日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

ポイント

  • 8月の全国CPIコアは、前年比+0.8%上昇しました。上昇の要因は、内需回復による寄与もあるものの、円安ドル高の影響や原子力発電の停止に伴う燃料輸入の増加によりエネルギー価格が大きく寄与したことによるものと見られます。
  • 政府は、10月1日、2014年4月からの消費増税を決定しました。また、消費増税に備え、約5兆円規模の経済対策の策定を表明しました。デフレ脱却を果たし"良いインフレ"を呼び込み、経済の成長力の底上げと好循環を実現し、持続的な経済成長につなげる方針です。

グラフ1:全国CPI(消費者物価)の推移

出所:総務省、ブルームバーグのデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

8月の全国CPI(消費者物価)は、前年比+0.9%(前月+0.7%)、全国CPI(除く生鮮食品)(CPIコア)は、前年比+0.8%(前月+0.7%)、全国CPI(除く食料、エネルギー)(CPIコアコア)は、前年比-0.1%(前月-0.1%)となりました。(グラフ1)

グラフ2:全国CPI(主要項目別)の推移

出所:総務省、ブルームバーグのデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

全国CPIの上昇に大きく寄与した項目を、リーマン・ショック前の2006年12月末からの上昇率を見てみると、他の光熱(+32.8%)、エネルギー(+21.1%)、電気代(+20.8%)、ガス代(+18.4%)の順となりました。上昇の要因は、内需回復による寄与もあるものの、円安ドル高の影響や原子力発電の停止に伴う燃料輸入の増加によりエネルギー価格が大きく寄与したことによるものと見られます。(グラフ2)

グラフ3:全国CPI(生鮮食品、エネルギー)とドル円の推移

出所:総務省、ブルームバーグのデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

ドル円と生鮮食品、エネルギーの推移を2012年9月末から2013年8月末の期間で見てみますと、ドル円は、77.96円(2012年9月末)→98.17円(2013年8月末)の+25.9%の上昇に対し、生鮮食品は+5.2%、エネルギーは+6.4%の上昇となりました。(グラフ3)

10月1日、政府は、閣議で2014年4月から消費税率を現行の5%から8%に引き上げることを決定しました。また、消費増税に備えた税制改正、財政支出を合わせた約5兆円規模の経済対策の策定を表明しました。今後、日本銀行による追加緩和を含め、「消費増税、経済対策の強化、金融緩和」によるポリシーミックスにより、経済の成長力の底上げと好循環を実現し、持続的な経済成長につなげる方針であると見られます。
"良いインフレ"とは、物価の上昇が企業収益の増加につながり、賃金が増え家計が潤い、個人消費が盛り上がり、さらに投資を呼び込み、好調な個人消費と投資により、経済成長を実現するという"デマンド・プル型"のインフレのことを言います。法人税減税は、企業の設備投資や賃上げを促し、経済の好循環をつくり、デフレ脱却を果たすことが狙いです。今後の動向を期待を込めて見ていきたいと思います。

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