金融市場NOW

マネー統計に見る日本銀行の量的・質的緩和の効果について

2013年07月30日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

ポイント

  • 日本銀行のマネー統計を見てみると、マネタリーベース、マネーストック(M2)ともに順調な伸びとなっています。
  • また、銀行総貸出や中小企業向け貸出についても、資金需要の広がりを背景とした増加が続いています。
  • 日本銀行が、4月3日、4日の金融政策決定会合で決定した「量的・質的金融緩和」は、マネーを通して実体経済に作用し、資金需要は順調に広がっていると考えられます。

マネタリーベースとは?

日本銀行券発行高、貨幣流通高、日銀当座預金の合計のことです。日本銀行が供給する通貨を示します。日本銀行は公開市場操作により、マネタリーベースをコントロールします。

マネーストックとは?

経済活動全体での預金と日本銀行券を合計したものです。預金の定義において、保有主体で区分されM1、M2、M3、広義流動性の4つの指標が公表されています。

金融政策によって経済活動をコントロールする過程

グラフ1:マネタリーベースとマネーストック(M2)の推移

出所:日本銀行、ブルームバーグのデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:マネタリーベースと日経平均の推移

出所:日本銀行、ブルームバーグのデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:総貸出、中小企業向け貸出の推移

出所:日本銀行、ブルームバーグのデータよりニッセイアセットマネジメントが作成

政権交代前の昨年(2012年)10月から今年6月までの日本銀行のマネー統計や日経平均株価の推移を見てみると、マネタリーベース(平残)が約35兆円の増加、マネーストック(M2)は約31兆円の増加となり、日経平均株価は53.2%の上昇となりました。
日本銀行は4月3日、4日の金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」の導入を決めました。そのため、大量の国債買い入れに伴い、当座預金が増加しており、日本銀行券需要が拡大している可能性があります。
また、マネーストックも伸びています。マネーストックは貸出などの信用創造を通じて市中に波及した通貨量を示しますが、2013年第1四半期の銀行総貸出は、昨年の第4四半期に比べ、約5兆円、中小企業向け貸出は約2兆円の増加となっています。
このように、日本銀行のマネー統計の推移を見ると、資金需要は順調に広がっていると考えられます。

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