金融市場NOW
J-REIT市場の現状と見通しについて
2013年03月18日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
東証REIT指数の動き
東証REIT指数が上昇しています。3月15日には、2008年6月4日以来約4年10ヵ月ぶりに1,500ポイント台を回復しました。同日の売買代金は665億円と過去最高水準近くに達しました(過去最高は2007年2月14日の697億円)。時価総額も6.75兆円と過去最高に迫る勢いです(グラフ1、2)。 東証REIT指数は、昨年3月以降上昇基調を続けていますが、3月14日、15日の2営業日で合計107ポイント、7.5%上昇する等、そのスピードが速くなっています。
グラフ1:東証REIT指数と売買代金の推移
(2003/3/31~2013/3/15、日次)

グラフ2:J-REIT市場の上場銘柄数・時価総額・総資産額
(2003年3月~2013年3月(3月は3月15日時点、総資産総額は2013年2月末まで) 月次)

上昇の背景
急上昇の要因としては以下の点が考えられます。
- アベノミクス効果(大胆な金融緩和政策等)により国内不動産市況やJ-REITの業績回復が速まるとの観測
- 主要国REITと比べたJ-REITの出遅れ感
- 一時期より低下したが3%台半ばの配当利回り(グラフ3)
- 上記を背景とした海外投資家からの急激な資金流入
- 世界的な金融緩和によるカネ余り現象
グラフ3:10年国債利回りとJ-REIT予想配当利回り、イールド・スプレッドの推移
(2001年9月~2013年3月(3月は3月15日時点) 月次)

相場見通し
短期
J-REITの主な収益源は賃料収入であり、景気変動の影響を受けにくいとされています。J-REITは不動産の開発や転売が原則禁止されており、地価の上昇により保有不動産の含みが増えても、収益にすぐに貢献するものではありません。J-REITの株価はゆっくりとした動きをするのが本来の姿であると言われています。足元の急上昇により過熱感が強まっています。強い動きを受けて、売りを見送る投資家が増えているようですが、一旦ピークをつけたとの見方が広がれば、売りを急ぐ投資家が増える可能性があります。相場が過熱した状況では、一方通行の動きになったり、値動きが荒くなる可能性があります。
中・長期的
地価の底打ち、賃料の上昇等国内不動産市況は今後改善傾向を強めるものと思われます。J-REITは増資による資金調達で新規の物件取得を本格化させ、将来の収益向上のための布石を打っています。相場が下落する局面では日銀の買いも期待できます。足元の過熱感が後退すれば、東証REIT指数は本来の姿とされる緩やかな上昇基調に回帰するものと見ています。
金融市場動向
関連記事
- 2025年02月20日号
- 機械学習の手法を活用しシクリカル株に投資(前編)
- 2025年01月23日号
- 成長性を評価する定量指標(1)
- 2025年01月17日号
- 【アナリストの眼】データが導くヘルスケアのイノベーション
- 2024年12月13日号
- 【アナリストの眼】食品企業の挑戦:インフレ継続をチャンスに変えられるか
- 2024年11月18日号
- 【アナリストの眼】KDDIがローソンと挑む「ソーシャル・インパクト」は、株主の期待に応えられるか?
「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。