金融市場NOW

アベノミクスによる景気・物価への影響と株式相場について

2013年03月08日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

いわゆるアベノミクスが国内外から注目されています。アベノミクスの目的は、デフレ脱却と持続的な名目3%成長の実現です。大胆な金融緩和・機動的な財政出動で景気浮揚を図りつつ、成長戦略にて中長期的な成長力の底上げを目指すものです(表1)。

表1:アベノミクス「3本の矢」の概要

出所:日銀、Bloomberg、内閣府ホームページ等よりニッセイアセットマネジメント作成
3本の矢 内容 効果
大胆な金融緩和 物価目標(2%)の導入
「デフレ脱却」の強い意志を持つ正副総裁を抜擢 期待に働きかける粘り強い量的緩和の実施
期待インフレ醸成
円安ルートからの景気・物価の押し上げ
機動的な財政出動 景気が安定軌道に至るまで、適切なタイミングで経済対策を実施 一時的に景気・物価を押し上げ
成長戦略 規制改革の推進
雇用関連、エネルギー・環境関連、健康医療関連を重点分野とし、大胆な改革を推進
潜在成長力の引上げ
イノベーション/IT政策の立て直し
科学技術・イノベーション立国を実現
経済連携・攻めの農業政策の推進
TPPを含めた戦略的経済連携を推進、農業競争力の強化
資源確保・インフラ輸出戦略の推進
エネルギー鉱物資源の海外権益確保、インフラ輸出を後押し
  • デフレ脱却
  • 名目3%成長軌道の実現

今後、アベノミクスの実行力が試されるポイントとしては、(1)4月以降の日銀新体制下における金融政策決定会合での緩和強化のスピード、(2)6月に発表される成長戦略の具体性、(3)来年4月の消費税増税時の景気の落ち込みを緩和できるかの3点です。

今後実行力が試されるタイミング

  • 金融政策:大胆な緩和策をスピーディーに実施できるか(まずは4月4日の日銀金融政策決定会合)
  • 成長戦略:6月に発表される内容及びTPPの参加可否
  • 2014年4月の消費税増税時の金融・財政対応

(出所)日銀、Bloomberg、内閣府ホームページ等よりニッセイアセットマネジメント作成

アベノミクスによる景気・物価への波及効果は、「明示的なルート」と「期待を通じたルート」の2つがあると考えられます。「明示的なルート」は、円安による効果が主になると見られます(図2)。

図2:明示的なルート

(出所)日銀、Bloomberg、内閣府ホームページ等よりニッセイアセットマネジメント作成

一方、「期待を通じたルート」は、実質金利の低下による景気・物価への効果を狙うものですが、波及の度合いには不確実性が伴うものと思われ、今後の推移が注目されます(図3)。

図3:期待を通じたルート

(出所)日銀、Bloomberg、内閣府ホームページ等よりニッセイアセットマネジメント作成

国内株式は、グローバル景気の持ち直し期待やアベノミクスにおける日銀の追加緩和期待、円安傾向などを材料に中期的な上昇局面にあると見ています。特に、新体制となる日銀が大胆な金融緩和を実施した場合、景気回復への期待感がより強まり、上昇相場に弾みがつく可能性があると思われます。

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