金融市場NOW

日銀の新体制における注目点について

2013年03月06日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

先週2月28日、政府は日銀の新しい総裁・副総裁の人事案を国会に提示しました。この人事案は、国会での候補者による所信聴取や質疑を経た後、今月中旬までに衆参両院の本会議で採決されれば、3月20日からいよいよ日銀新体制がスタートすることになります。長期金利は既に、新体制の日銀が更なる金融緩和を実施する可能性が高いことへの期待感によって、低下傾向を強めています。

現在の日銀による緩和ペース(1月22日金融政策決定会合ベース)は、2014年までに国債買入残高を67兆円から111兆円に増額するもので、マネタリーベース(*)は今後2年間で約40兆円(毎月では2兆円ペース)増やす程度になっています。

  • マネタリーベースとは「日本銀行券発行残高」「通貨流通高」「日銀当座預金」の合計額です

グラフ1:名目3%成長に必要なマネタリーベース試算

出所:内閣府、日銀、FRB、BEA、ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

グラフ1の「必要なマネタリーベース」はマッカラムルールによる試算です。マッカラムルールとは、名目成長率目標(ここでは3%)を達成するのに必要なマネタリーベースの伸びを推計する計算式です。現在の日銀の金融政策に批判的な一部の経済学者は、日銀が量的緩和の手を緩めた2004年以降拡大しているマネタリーベースの必要額と実際の額との差をできるだけ早く埋める政策が必要と唱えています。

グラフ2:ドル/円と日米マネタリー比率

出所:内閣府、日銀、FRB、BEA、ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成

日銀は、新体制が発足したのち、国債買入増を中心としたマネタリーベース拡大を打ち出すと見られます。為替市場でも注目度の高い日米マネタリーベースの比率の観点で見てみると、米国の連邦準備制度理事会(FRB)が現状の債券買入(毎月850億ドル)を継続する前提で試算すると、少なくとも毎月3兆円ペースでの国債買入増(現在は2兆円)が必要であり(グラフ2)、新体制での政策が注目されます。

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