金融市場NOW

緊急経済対策と円安による国内景気・物価への影響について

2013年02月01日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

国内景気は、外需の弱含みと政策効果の反動を背景に、昨年春頃から景気停滞局面にあります。しかし、1月11日に発表された昨年12月の「景気ウォッチャー調査」では、「景気の現状判断」指数が45.8と11月の40.0から大幅に改善するなど、足下では持ち直しの兆しがでてきています。2013年1-3月期以降は、緩やかな回復基調を辿ると見ています。

図1:日本経済再生に向けた緊急経済対策の基本的な考え方

出所)財務省ホームページ、各種報道、ブルームバーグ等をもとにニッセイアセットマネジメント作成

昨年景気停滞に陥った要因の一つとして、エコカー補助金終了による国内消費の反動減がありました。最近はその影響も一巡しており、今後は、政府が1月11日に閣議決定した総額10兆円規模の緊急経済対策が景気の底支えに寄与する可能性が高いと思われます(図1)。

グラフ1:緊急経済対策の景気(実質GDP)浮揚効果

出所)財務省ホームページ、各種報道、ブルームバーグ等をもとにニッセイアセットマネジメント作成

2013年度実質GDPは、緊急経済対策によって1%程度押し上げられ、2.5%程度の成長になるとみています。今回の緊急経済対策は、法案成立から実行まで迅速に行われると想定されるため、2013年4-6月期の実質GDPを押し上げる効果が特に大きくなると考えられます(グラフ1)。

グラフ2:円安による消費者物価の押上げ効果(予測)

出所)国土交通省建設設備総合統計よりニッセイアセットマネジメント作成

また、外需は、欧州の景気後退や中国からの輸入停滞により弱含んでいましたが、2013年1-3月期以降は新興国経済の底打ちと本邦経常黒字縮小傾向を受けた円安を通じて改善するものと見られます。外需が持ち直すことで企業マインドや企業収益は回復するものと思われます。

円安の進行は、そのスピードにもよりますが国内消費者物価に一定の影響を与え、1ドルが90円水準で横ばいに推移したとしても、2014年には消費者物価がプラスに転じると予想しています(グラフ2)。

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