金融市場NOW
新興国の経済成長と年齢別人口構成の変化について
2012年11月15日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
国の経済成長と年齢別人口構成の変化には、密接な関係があると思われます。
グラフ1:国の年齢別人口構成の変化、人口ボーナス指数と経済成長について(イメージ図)

年齢別人口構成の変化を把握する上で役に立つ指標に「人口ボーナス指数」があります。人口ボーナス指数(※1)は、生産年齢人口(15歳~65歳)を従属人口(年少者や高齢者など)で割った指数です。前出従属人口に対して、労働力となる生産年齢人口の割合が高まる(人口ボーナス指数の上昇)ことで、経済活動が活発になると考えられます。この指数が200以上の時期を「人口ボーナス期」とよび、その国の経済成長が期待できる時期です(グラフ1)。
- 人口ボーナス指数=生産年齢人口/従属人口×100
グラフ2:日本の名目GDPと人口ボーナス指数の推移(予測含む)

日本も戦後期には新興国の状態でしたが、その後、高度経済成長期を経験し安定経済成長期となり、その過程で日本の人口ボーナス指数は、1964年から2004年までは200を超えていました(グラフ2)。各国の状況が違うため、それぞれの人口ボーナス期は異なりますが、日本の事例は、これからの新興国の経済成長を占う上で参考になると思われます。
新興国の人口ボーナス指数は、インドネシアはすでに人口ボーナス期入りし2025年まで続くと予想され、ブラジル・インド・マレーシアは2025年から、フィリピンは2050年からそれぞれ人口ボーナス期入りするものとみられます(表1)。人口ボーナス指数の推移をみてみると、これらの国々は、今後の経済成長が期待できる国といえるかもしれません。
表1:各国の人口ボーナス指数の推移(予測含む)
1980年 | 1990年 | 2000年 | 2005年 | 2010年 | 2025年 | 2050年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
日本 | 207 | 229 | 214 | 198 | 179 | 147 | 104 |
米国 | 197 | 194 | 195 | 202 | 204 | 173 | 161 |
英国 | 179 | 188 | 187 | 194 | 194 | 170 | 148 |
ドイツ | 193 | 223 | 213 | 202 | 194 | 167 | 128 |
中国 | 148 | 201 | 214 | 241 | 257 | 216 | 156 |
ロシア | 213 | 204 | 229 | 246 | 264 | 211 | 158 |
インド | 133 | 140 | 153 | 163 | 178 | 208 | 206 |
ブラジル | 137 | 152 | 182 | 194 | 199 | 205 | 170 |
マレーシア | 133 | 143 | 168 | 180 | 194 | 210 | 189 |
インドネシア | 128 | 153 | 184 | 195 | 206 | 231 | 178 |
フィリピン | 116 | 127 | 142 | 150 | 159 | 192 | 207 |
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