金融市場NOW
最近の中国の景気動向と相場見通しについて
2012年10月23日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
グラフ1:中国 実質GDP伸び率前年同期比(データ期間:2006/3~2012/9、四半期)

10月18日に発表された中国の7-9月期実質GDPは前年同期比+7.4%と4-6月期の+7.6%から一段と鈍化、リーマンショック直後2009年1-3月の+6.6%以来の低い成長率となりました(グラフ1)。一方、同時に発表された9月の景気指標は改善傾向となったことから、当日の中国株は上昇、日本株も大幅上昇となりました。
グラフ2:鉱工業生産と小売売上高(前年同期比伸び率) (データ期間:2011/1~2012/9、月次)

9月の小売売上高は前年同月比+14.2%と8月の+13.2%から2ヶ月連続で加速、鉱工業生産も+9.2%増と8月の+8.9%から4カ月ぶり加速となりました(グラフ2)。輸出入や固定資産投資の伸びも高まっており、経済全般が9月に改善に転じた可能性が示唆されています。このペースで回復が続けば、10-12月期実質GDPが8四半期ぶり加速に転じることも期待できそうです。
グラフ3:社会融資総量の動き

9月の経済全体のファイナンス規模を示す「社会融資総量」※は1兆6500億元と昨年を大きく上回るペースへ拡大しています(グラフ3)。今回の景気停滞が長期化した要因としては、「(1)食糧高・インフレ懸念による金融緩和の遅れ」「(2)新指導部への移行前で政策が出にくい政治情勢」「(3)欧州景気後退をうけた外需低迷」が考えられますが、(1)の金融面については、すでに相当に緩和的な状況に転じたと見られます。
- 「社会融資総量」:銀行融資・社債・株式を含む経済全体のファイナンス規模
グラフ4:中国株の動き(データ期間:2011/1/4~2012/10/19、日次)

中国の株式市場は、景気減速をうけて低迷が続いていましたが、9月以降はやや反発に転じつつあります(グラフ4)。 11月には党指導部交代が予定され、(2)の政治要因も好転すると見られます。年末にかけては、景気回復への期待感から、中国株の上昇基調の継続が期待されます。
金融市場動向
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