金融市場NOW

世界の景気と新興国債券について

2012年09月21日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

中長期でみると、世界の景気動向と新興国債券の米国国債との利回り格差(スプレッド:新興国債券利回り-米国国債利回り)は相関が高くなっていると思われます。
世界景気の回復局面では、新興国債券の対米国国債スプレッドは縮小し、相対価値は上昇する傾向にあります。逆に、世界景気の後退局面では、新興国債券の対米国国債スプレッドは拡大し、相対価値は下落する傾向にあります(グラフ1)。

世界の景気動向を、グローバル製造業購買担当者指数(PMI)(※)で見てみると、8月末では、年初から-2.4ポイントとなり、世界的にはゆるやかな景気減速局面となっています。
一方、新興国債券の対米国国債スプレッドは、8月末で年初から-0.88%と縮小し、新興国債券の相対価値は上昇しています(グラフ1)。

  • 景気の先行きを示す指標のひとつ。世界的な製造業の購買担当者に生産意欲などをアンケートして指数化したもの。PMIが50を超えると景気回復を示し、50未満だと景気後退を示す。

グラフ1:グローバル製造業購買担当者指数(PMI)と新興国債券の米国国債との利回り格差

出所:Bloombergのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

中長期的な相関と、最近の動向が合致していない原因は、世界各国の金融当局が、世界経済のさらなる景気減速に備え金融緩和政策を継続し、低金利を維持していることによると考えられます。

このような局面では、相対的に高利回りの債券を保有し高い利息(クーポン収入)を得るという投資戦略が有効とされ、新興国債券は物色の対象とされています。

先進国の金融緩和政策は当分の間継続し、新興国債券の利回りは相対的に高い水準を維持すると考えられ、投資対象としての魅力は持続すると思われます。

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