金融市場NOW
米国の量的緩和第3弾(QE3)と今後の相場について
2012年09月14日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月13日、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の声明で量的緩和第3弾(QE3)を実施すると発表しました。内容は(1)住宅ローン担保証券(MBS)を毎月400億ドルのペースで購入する。期限については、「雇用情勢の見通しが顕著に改善するまで」続ける。(2)FF金利を異例の低水準に据え置く期間を、従来の「2014年遅くまで」から「2015年半ばまで」に延長する、などとなっています。
市場では今回のQE3実施をある程度織り込んではいたものの、前回のQE2による債券購入は8カ月(2010年11月~2011年6月)の期限が設けられていたのに対し、今回のQE3は実質無期限であることなどを好感し、NYダウは前日比206.51ドル上昇し、13539.86ドルと約5年ぶりの高値となりました(グラフ2)。また、為替市場は若干の円高(77.86円→77.49円)、債券市場では10年国債金利が小幅低下(1.76%→1.72%)となっています。
今後については、今回のQE3が「雇用情勢の見通しが顕著に改善するまで」実施するというものであることから、米国の景気回復・雇用改善に伴って米長期金利が穏やかに上昇することが予想されます。これに伴い、為替市場では、日米金利差拡大により、年末から来春にかけて緩やかなドル高/円安に推移すると見ています(グラフ1)。
グラフ1:米国10年国債金利とドル/円レートの推移

グラフ2:日経平均株価とNYダウの推移

また、株式市場については、為替市場での円安推移を見込んでいることから、国内株は年末から来春にかけて緩やかに上昇すると見ています。米国株式については、欧米中銀による金融緩和が株価をサポートするものの、欧州重債務問題などが重石となり、概ね横ばい圏で推移すると予想します(グラフ2)。
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