金融市場NOW
新興国債券の各国別利回り比較について
2012年09月05日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
新興国債券の利回りは、先進国に比べて高い水準にあります。これは、国債利回りをベースに、国のソブリンリスクが上乗せされているからです(グラフ1、表1)。
グラフ1:新興国債券と先進国国債(10年)利回り(2012年7月末)

- ハイイールド債券: BoAメリルリンチハイ・イールドマスター2
- 米ドル建てエマージング国債: JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・ダイバーシファイド
表1:格付(S&P自国通貨建長期格付)別区分(2012年8月末)
AAA | AA (AA+~AA-) |
A (A+~A-) |
BBB (BBB+~BBB-) |
BB (BB+~BB-) |
---|---|---|---|---|
|
|
|
|
|
今年に入って、欧州の債務問題や米国の景気後退懸念を背景に、先進国の金利は急低下しました。米国の連邦準備銀行(FRB)はこのような経済状況を踏まえて金融緩和を継続しており、米国国債(10年)は、7月末には1.5%まで低下しています。
これに対して、エマージング債券指数(米ドル建て)の平均利回りは4.8%(7月末)となっています。これより高い水準にある国は、高い順で、ブラジル、トルコ、インド、ロシア、ハンガリー、南アメリカ、コロンビア(6%超)などがあります(グラフ1) 。
新興国債券はその種類も多く、各国の利回りの水準にもばらつきがあります。それぞれの国の利回りとソブリンリスク、流動性リスク、各国の制度上のリスクなどを総合的に見てみると先進国の債券との相違点が見えてくるかもしれません。各国に分散投資することでリスクを軽減することも効果的であると考えられます。
先進国の金利が低下傾向で歴史的にも低い水準にある中で、相対的に利回りの高い新興国諸国の債券に魅力が生じてきていると思われます。
金融市場動向
関連記事
- 2025年02月20日号
- 機械学習の手法を活用しシクリカル株に投資(前編)
- 2025年01月23日号
- 成長性を評価する定量指標(1)
- 2025年01月17日号
- 【アナリストの眼】データが導くヘルスケアのイノベーション
- 2024年12月13日号
- 【アナリストの眼】食品企業の挑戦:インフレ継続をチャンスに変えられるか
- 2024年11月18日号
- 【アナリストの眼】KDDIがローソンと挑む「ソーシャル・インパクト」は、株主の期待に応えられるか?
「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。