金融市場NOW

5月米雇用統計について

2012年06月06日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

グラフ1:非農業部門雇用者数と失業率

出所:米国労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

先週末(6/1)に発表された5月米国雇用統計では、「非農業部門雇用者数」の前月比増加幅が+6.9万人へと鈍化、4月分も+11.5万人から+7.7万人へと下方修正され、失業率も8.2%へ上昇となりました(グラフ1)。市場では、新規失業保険申請など周辺指標の好調から+15万人程度の雇用増が予想されていただけに、雇用増加幅の予想外の低下をうけて、当日の株価は大幅下落、長期金利も大幅な低下となりました。

雇用増の内訳をみると、建設業が暖冬の反動で▲2.8万人の雇用減、政府部門も▲1.3万人の雇用減となり、主力のサービス部門も+9.7万人と、雇用増のペースが2012年1・2月の各月20万人程度増加から大幅鈍化となっています(グラフ1、表1)。全体として特徴に乏しいものの、米国経済の幅広い分野で雇用の鈍化が進みつつあることを示唆する弱い内容といえそうです。

表1:非農業部門雇用者数

出所:米国労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成
  対前月増減 雇用者数
  5月
4月
5月
変化幅(万人) (万人) (万人) (万人) 比率
民間 -0.5 8.2 8.7 11,134 83%
  鉱工業 0.4 1.3 0.9 1,277 10%
建設業 -2.3 -2.8 -0.5 556 4%
サービス 1.4 9.7 8.3 9,301 70%
政府 -0.3 -1.3 -1 2,239 17%
合計 -0.8 6.9 7.7 13,373 100%

グラフ2:民間雇用と週労働時間

出所:米国労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

今後についても、雇用者数の動きに先行する週労働時間は34.4時間と2月の34.6時間をピークに低下傾向となっており(グラフ2)、6月以降、一段と雇用が鈍化する可能性にも十分な注意が必要と思われます。

グラフ3:家計調査の雇用は大幅増

出所:米国労働省のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

一方、失業率算定の基礎となる「家計調査」では5月の雇用者数は+42.2万人と大幅増に転じており、非農業部門雇用の基礎となる「事業所調査」とは正反対の結果となっています(グラフ3)。「家計調査」のデータは月々の振れが大きいものの、3-4月に一旦悪化した雇用市場が5月からはやや改善に転じつつあることを示唆している可能性も考えられます。米国雇用の方向性を見極めるには、もう少し経過をみる必要がありそうです。

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