金融市場NOW
運用手法としての円キャリー取引(円借り取引)の有効性
2010年10月01日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
- 各国の金融政策の乖離が広まれば、為替市場は、より金利差に着目する展開に。
- 金利差に着目した円キャリー取引は有効な運用手法。
為替市場の方向性を決める大きな要因のひとつに、金利差があります。これに加え、局面ごとに市場のテーマが影響すると考えられます。例えば、昨年末のギリシャ格下げ以降は、金利差に加え、財政状況も為替市場の強弱感を決める材料として注目を集めてきました。グラフ1はギリシャ格下げ以降の円キャリー取引(※)のリターンですが、低金利かつ財政赤字国通貨群(グラフ2左斜め下方向)は総じてマイナスリターンとなっています。
- 低金利で調達した資金(円)を高金利国通貨で運用し、金利差から利益を狙う取引手法
ブラジル、メキシコ、豪州は財政赤字の対GDP比は-5%以内に収まっている上、対日金利差が相対的に大きいことから選好され、円キャリー取引リターンはプラスになっています。
グラフ1

グラフ2

対日金利差が大きい国は総じて、経済成長の見通しも良好な国が多くなっています(グラフ3)。グラフ3の、より、右斜め上方向に近い国の通貨は、円キャリー取引の運用先として今後も選好されやすいものと考えます。
グラフ4は、対日3ヶ月金利差上位5カ国(ブラジル、インド、南アフリカ、豪州、メキシコ)の通貨を運用先にした円キャリー取引の累積リターンを2000年年初を100として指数化したグラフと、下位5カ国(スイス、米国、台湾、英国、ユーロ圏)の累積リターンのグラフです。これを見ると金利差に着目した円キャリー取引は、過去の一定期間において概ね投資に有効な手法であったことがわかります。
グラフ3

グラフ4

金融市場動向
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