金融市場NOW
カナダについて(米国景気回復の恩恵を受ける国)
2010年06月01日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
- カナダ経済は輸出入や直接投資を通して米国経済との関係が深く米国経済回復の恩恵を受ける有力候補。
- カナダは世界有数の資源国の一つであり、カナダドルは国際商品市況の需給やその価格に影響を受ける。
- カナダ中央銀行は出口戦略への地ならしを始めた模様であり、このことはカナダドルの下支え要因に。
グラフ1

カナダ経済は、GDPに占める輸出額の割合が2009年末時点で33%と高水準の国といえます。米国、メキシコ、カナダの自由貿易協定であるNAFTA成立後は、米国経済の影響を多く受けてきました。特に輸出の約8割は対米輸出となっており、足元も米国経済の回復に連れカナダの輸出が増加し、景気回復を主導してきました(グラフ1)。
グラフ2

世界的に財政規律問題が市場の注目を集めていますが、カナダの財政規律は相対的に健全な位置にあります(グラフ2)。
グラフ3

カナダの主要輸出品目は、約31%(2008年時点)が原油、石油ガス、アルミニウム等の鉱物性生産品です。このため、これらの国際商品価格指数の先行きにカナダドルは影響を受ける傾向があります(グラフ3、4)。
原油価格や鉱産物指数は、世界景気の回復とともに上昇する傾向があります。OECDの景気先行指数は景気の回復基調を示唆しており、資源の需要も相応な伸びが見込まれ、カナダドルの支持的な環境は維持されるものと考えます(グラフ5)。
グラフ4

グラフ5

グラフ6:対外直接投資(国別・地域別構成比)

米国経済とカナダ経済の結びつきは、カナダの対外直接投資の対米比率の高さにもうかがえます(グラフ6:2008年末時点)。
グラフ7

カナダ中央銀行は、4月以降、「異例の金融緩和を解除することが適切である」との声明を出し、出口戦略に向けた地ならしを始めた模様です。また、グラフ1で示唆されている米国景気回復の恩恵を受け、カナダの景気の見通しも改善しています。
この現状を民間の金融機関の予想を基に、グラフ化し、他国と比較したのがグラフ7です。ファンダメンタルズだけに着目すると、グラフの右斜め上方向に位置している国(景気見通しが良く/政策金利予想が高い)は選好されやすい通貨群といえるかもしれません。カナダと日本の比較で見ると、カナダに分がありそうです。
金融市場動向
関連記事
- 2025年02月20日号
- 機械学習の手法を活用しシクリカル株に投資(前編)
- 2025年01月23日号
- 成長性を評価する定量指標(1)
- 2025年01月17日号
- 【アナリストの眼】データが導くヘルスケアのイノベーション
- 2024年12月13日号
- 【アナリストの眼】食品企業の挑戦:インフレ継続をチャンスに変えられるか
- 2024年11月18日号
- 【アナリストの眼】KDDIがローソンと挑む「ソーシャル・インパクト」は、株主の期待に応えられるか?
「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。