金融市場NOW
米国経済悲観論の影で無視される明るいデータ他
2008年01月24日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
サブプライム問題を契機に、米国経済悲観論が市場を席巻しています。しかし、その影に隠れて、本来、冷静にチェックしておかなければならない重要な点が完全に無視されています。今回は、市場から無視されている米国経済の明るいデータを紹介してみたいと思います。
世界からの対米M&A(企業買収&合併)金額

海外投資家はドル安の機会を最大限に生かし、米国資産の買収を積極化しています。2007年の対米M&A(買収&合併)総額は過去10年平均の約2倍強であり最高水準を更新しました。今年も1月中旬までに約700億ドル相当(2007年同期比+400%)の対米投資が発表されています。
米国双子の赤字

ドル安論が蔓延する際に必ずと言ってよい程、取り沙汰される米国の双子の赤字(財政・経常収支の赤字)はそれぞれ底打ちししています。
財政収支の対GDP比と貿易加重ドル実効指数

財政収支の対GDP比は1990年台前半以降、ドルの先行指標となってきました。そのピークアウト、ボトムアウトにラグ(時差)を置いてドルも連動する傾向がみられます。
対米株式投資と貿易加重ドル実効指数の関係

1990年台前半以降、米国非居住者による対米証券投資額合計(債券+株)に占める同、対米株式投資の比率が上昇する局面ではドルが上昇してきました。今局面は同指数が上昇する中でドル安となっています。過去と異なる、この為替の動きは今後も続くのでしょうか?
住宅投資のGDPへの寄与度

サブプライム問題を契機とした住宅価格の下落やその影響を受ける住宅投資の低迷から米国経済悲観論が台頭していますが、住宅投資のGDPへの寄与度はマイナス1%程度でしかありません。住宅投資が低迷してもGDP成長率は堅調推移していることを見ても、そのマクロ経済全体に及ぼす影響が限られていることがわかります。
家計の財政状況と個人支出

米国の家計の財政状況(個人の金融資産-個人の金融負債の対可処分所得比)は住宅価格の下落下においても健全といえます。この影響もあり、個人支出は高止まりしています。
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