アナリストの眼
投資で変わる運輸セクターの未来地図
掲載日:2014年08月05日
- アナリスト
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投資調査室 平山 泰吉
2012年秋以降、アベノミクスを追い風に企業収益は改善傾向にあります。企業は産み出された余剰資金の使途について適切な経営判断を行う必要ありますが、足元の収益改善を受け、その使途には益々大きな注目が集まっています。
大きく分けて企業の余剰資金の使途には成長投資もしくは株主還元があります。記憶に新しいアマダの株主還元強化に見られるように、企業価値の向上を目指し、過剰な内部留保から株主還元の強化に舵を切り始める企業も散見されるようになってきました。
一方、成長投資はどうでしょうか。私が現在アナリストとして担当している運輸セクターにおける一例を見ていきたいと思います。運輸セクターは他のセクターと比べると相対的に大幅な成長はなかなか見込みづらいと思われがちですが、政府の成長戦略や2020年の東京五輪開催に向けたインフラ整備の必要性から、非連続的な成長が期待できるフェーズになってきています。成長戦略の柱の一つとして2030年までに訪日外国人旅行者数3,000万人達成という政府目標を掲げていますし、更に2020年東京五輪開催という絶好の機会を捉え、日本の観光資源等のポテンシャルを活かした観光振興が今後強化される見込みです。
一例を挙げるとすると、インバウンド需要の増大に向けた羽田空港の国際線発着枠の拡大や国内交通インフラのソフト面/ハード面での強化(中央リニア新幹線や都心直結線(成田空港と羽田空港を1時間で結ぶ))、JR東日本や西武ホールディングスを中心とした品川・高輪エリアの再開発等です。
もちろんこれらの成長投資が企業価値に与える影響に関しては精査が必要であり、株主価値の最大化に繋がるものであることが求められます。加えて、近隣住人や利用者、従業員、債権者など様々なステークホルダーにとっての最適解となるような投資を企業が実行できるように、今後とも機関投資家として企業との対話を行っていきたいと思います。
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