アナリストの眼
ロンドンでの研修
掲載日:2013年05月24日
- アナリスト
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投資調査室 加藤 真二
日本でアベノミクスが話題をさらい始めた2012年末、私はロンドンにいた。
当時、現地で開催されたグローバル株式投資に関するセミナーに出席したが、日本の変化に対する期待の高さを実感したものだった。
2013年3月末までの約半年間、ロンドンで研修の機会を頂いたのだが、今回はそこで感じたことを簡単に記したいと思う。
欧州企業・投資家から学んだこと
ロンドンでは、アナリストとして様々な産業の欧州企業を分析する機会に恵まれた。
新興国中心に継続的なM&Aを通して、外部成長を取り込みながら売上成長を達成し、投下資本利益率を高水準で維持しながら、株主価値向上を果たしている産業セクターのある企業が記憶に残っている。言語の壁等はあるものの、M&Aにおけるスムーズな統合等、日本の企業としても学ぶべき点はあると感じた。
ギリシア危機に端を発した景気悪化について懸念されていることが多い欧州地域ではあるが、成長が期待される新興国のエクスポージャーが高いグローバル企業が多いことも印象的であった。 各企業の経営陣の報酬体系には、株価パフォーマンスに対するインセンティブが盛り込まれていることも多く、企業側の株主価値に対する意識の高さには感心した。
また、現地の投資家ともディスカッションをする機会に恵まれた。投資哲学等は十人十色であり、ご紹介は割愛するが、彼らの意見は1アナリストとして参考となるとともに、今後もアナリストとして仕事を続けていく上で、たくさんの刺激を受けた。
私が重視している考えは、その企業がいかにして利益を上げていているのかを深く理解し、中長期の業績動向について株式市場のコンセンサスとは違う見方を見いだし、その業績予想に基づいたバリュエーションが割安な企業の株式に投資するというものである。投資家とのディスカッションを通して、この考えはオーソドックスではあるが、王道を行くものだと自信を深めた。
寒さ厳しい冬の欧州での滞在であったが、、、
残念ながら私の滞在は、2大イベントである2012年のエリザベス女王の60周年を記念した「ダイヤモンド・ジュビリー」、「ロンドンオリンピック」を終えた、寒さ厳しい冬のロンドンでのものであった。休日を使って欧州の国々を訪問することが出来たことは貴重な経験であったと思う。歴史ある欧州の街並みに感嘆するだけでなく、ライフスタイルにも触れる機会があり、今後グローバル企業の動向を考える上でも参考としたい。
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