アナリストの眼
端末から情報への価値移行
掲載日:2011年12月22日
- アナリスト
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投資調査室 安達 浩
現在「セミコンダクターJapan」が開催されており、同業界担当ため今年も訪問してきましたが、年々台湾韓国中心に海外顧客比率が高まっている感じがしています。
今年も半導体業界の需要を支えるのはスマートフォン。
ところがスマートフォンブームも2年目を終え、そろそろ先進国では、ハイエンドユーザー普及率は飽和に向かう分析しています。
一方、今のような高額はスマートフォンではなく、手ごろ価格のスマーフォンは今後世界市市場での普及開始を見込んでいます。これら中低価格帯のスマートフォンの主要市場はエマージング市場が主ですが、先進国においてもこれまでそれほど必要性がなかった人達にも、その値段ならと普及されることが予想されます。
一方、これらマス市場では、価格とは別にスマートフォンで「何ができるのか」が今後の普及を左右すると分析しています。日本ではかつて携帯電話ブームで端末の高機能を競った歴史がありましたが、スマートフォンとはいえあくまで端末、世界のマス市場はそれを使って何ができるかに注目しており、そのための端末はできるだけ安くというのが我々の見方です。
我々のリサーチしている企業の戦略はまちまちです。これまでのスマートフォンブームを支えたハイエンド層ではiPhoneが最大の勝者ですが、iPhoneに追いつこうと高機能スマートフォンの開発に余念のない企業。既に先を読んでこれからの成長である、中低価格帯のスマートフォン戦略に取り掛かっている企業。端末に価値がないことを見出し、むしろそこにどういった情報を提供するかに開発費用を投入する企業。各企業の強みを生かすことが最適なので解はないですが、これから高機能端末の開発を強化していこうとする企業に将来性はないと判断しています。高機能端末の王者i-Phoneですら、端末だけでなくiTuneやiCloudといった、スマートフォンを買ったユーザーに対する付加価値を提供する事業戦略だからです。
端末と情報を提供するアップル社の営業利益率は30%、検索情報を端末に提供するグーグル社は35%、スマーフォン専業で最も成功したHTC社は15%。この差が事業価値だと判断していますが、今後このスマートフォンのマス化に伴って更に差が拡大すると分析しており、我々アナリストは足元のブームの踊られることなく、そのような事業環境の変化をきちんと見据えた企業の発掘に努めています。
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