アナリストの眼
新興国アナリストとして
掲載日:2011年04月21日
- アナリスト
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投資調査室 南 紅鉉
世界経済が先進国主導の時代から、先進国、新興国主導の経済へと構造転換する時代の流れの中で、世界の成長エンジンとして急成長しているアジア新興国のアナリストとしてのミッション、そしてミッション達成のためには何をすべきか?
新興国アナリストとして当社に入社以来、私は常に上記の質問を問いかけてきました。他業種での経験活かしを、マクロ・ミクロ分析を基に、最も成長性が高く、経済社会が必要な産業、企業に経済資源を効率的に配分すると同時に、最高のパフォーマンスで受託資産価値の向上に貢献したいという強い思いがあり、アナリストの職務に従事しています。
韓国担当のカントリー・アナリストとして、小売、通信、航空、電力、建設等内需銘柄を担当し、今年4月に入ってからは、中国の石油、電力等へと徐々に範囲を広げています。当社の株式分析の特徴は、経営陣とのミーティングを中心とした豊富な企業コンタクトを通じ、企業経営者の視点からの戦略分析・業績予測を行う点です。とくに新興国の場合、多くの企業は明確な国家戦略に基づき、野心的な事業計画を打ち出しているので、それらを鵜呑みにすることなく、外部環境はもちろんのこと、競争力の源泉、戦略実行力、あるいは法制度等の各種制約につき十分に調査・分析し、業績予想を組み立てています。
アナリストの役割は業績予想を立てるだけでは終わりません。推奨銘柄が実際にポートフォリオに組入れられ、パフォーマンスに貢献するまでが職務であり、そのためには(1)組み立てた業績予想をDCF(キャッシュフロー割引モデル)の概念に基づく独自の企業価値評価システムに反映させ、適正株価を算出、(2)モデルから得られる適正株価と現在の市場株価を比較し、そのギャップの源泉を明確化、(3)認識ギャップが解消する確信度、解消までの実現速度に対する合理的な説明、というプロセスが求められます。推奨銘柄が良好なパフォーマンスを発揮したときに、受託運用資産価値の向上に貢献できると考えています。
現在は、担当する韓国、中国企業はもちろん、社内外のアナリスト、ポートフォリオマネジャーとの日々のコンタクトを通じ、新興国アナリストとして常に一段高いハードルを設けるよう心がけています。「効率的な資源配分による経済社会発展への貢献、最高のパフォーマンスによる受託運用資産価値の向上に貢献する」という初心を忘れず今後も精進していきたいと考えています。
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