アナリストの眼

本格的な3Dの時代へ

掲載日:2010年01月18日

アナリスト

投資調査室 小林 守伸

最近、新聞やテレビなどで「3D(3 Dimension、3次元)映像」に関するニュースが増えています。映画の劇場公開において3D作品が良好な興行成績を収めたり、また、今年は、家電メーカー各社から3D対応テレビの発売が予定されており、いよいよ、家庭でも3Dコンテンツの視聴が可能になるなど、何かと話題が多くなっていることが背景にあります。

私も、先日、3D映画の話題作であるジェームズ・キャメロン監督の「アバター」を観てきました。アバターは構想14年、製作に4年を費やした3Dの超大作で、実際に視聴してみると、3Dによる奥行のある臨場感の高い映像に魅了されてしまいました。読売新聞によると、「アバター」の世界興行収入は公開後1ヶ月足らずで13億4000万ドルに達し、歴代第2位の大ヒットとなっています。ちなみに歴代第1位は同じくジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」で興行収入は18億4000万ドルです。同監督は歴代1位と2位を独占するという快挙を成し遂げたことになります。監督は次回作も3Dで撮影するようですが、ジェームズ・キャメロンに限らず、今後、3Dによる映画製作を予定している監督は多く、「アバター」の大成功は、3D映画作品の増加に拍車をかけることになるとみられます。

さて、これまで3D映画は映画館でしか観ることができませんでしたが、今年から3D対応テレビの発売が開始され、いよいよ家庭でも3D映画を視聴することができるようになります。3Dの原理は、右眼の映像と左眼の映像を分離することによって両眼視差という立体視の仕組みを頭の中に再現するものです。家庭で3D映画を見るためには、3Dに対応したテレビと専用のメガネ、そして、パッケージソフトの場合にはブルーレイ・ディスク・プレイヤーが必要になります。専用メガネには左右の切り替えを高速で行うシャッター機能がついています。テレビは右眼用と左眼用の映像を交互に映し出し、この切り替えを無線によってメガネのシャッターと同期させ、3Dを実現します。今後、これまで上映された3D映画はブルーレイ・ディスクとして発売されるとみられ、家庭でも「アバター」を映画館さながらに楽しむことができるようになるわけです。さらに、映画だけではなく、スポーツやドキュメンタリーなど幅広い映像分野で3Dソフトが発売され、また、ゲームでも3D用のタイトルが発売されるなど、3D映像の世界がドンドン広がっていくとみられます。

3Dの家庭への本格的な普及により、3Dに関連した製品の需要拡大が期待できます。3D関連製品としては、撮影用のカメラ、映画館に配備されるシネマ・プロジェクター、3D対応テレビ、ブルーレイ・ディスク・プレイヤー、ゲームなどがあります。これらの3D関連製品において、日本企業が技術的に先行している製品が多くあり、今後の需要拡大の恩恵を享受できると期待されています。ただ、技術的に先行しているからといって事業としての成功が保障されているわけではありません。マーケティングなども含めた総合的な戦略が勝敗を決めることになります。これを見極めるために我々アナリストの眼も「3D」、すなわち多元的な視点が求められているのだと考えています。

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