金融市場NOW

“ブルーカーボン”海洋のCO₂吸収源に期待高まる

2022年05月27日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

脱炭素の流れから注目が集まる 企業のさらなる参入が期待される

  • 2009年にUNEPが発行した報告書で定義された“ブルーカーボン”は、地球温暖化防止のための新たなCO₂吸収源として近年、注目が集まっている。
  • 国土交通省は、企業のCO₂量取引の仕組みの整備を進め、さらなる企業の参入を後押しする見込み。

新たなCO₂吸収源ブルーカーボンに期待高まる

グラフ1:排出されたCO₂の約半分は陸上・海洋で吸収

  • ※排出されたCO₂の行方(2000~2005年の年平均)
  • 出所:UNEP、IPCC第4次報告書をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

石炭・石油など、化石燃料の燃焼などで放出した二酸化炭素(CO₂)のうち、およそ半分は大気にとどまるものの、残りの半分は森林などの陸上植生や海洋で吸収されています(グラフ1)。

かつては、陸上、海洋問わず、地球上の生物により吸収・貯留されるCO₂などの炭素はすべて“グリーン・カーボン”と呼ばれていました。

マングローブや海草藻場などからなる沿岸生態系は、大気や海水からCO₂を吸収し、植物体と海底に貯留します。近年、陸上生物の作用により吸収・貯留される炭素のことをグリーンカーボン、海洋生物の作用によるものを“ブルーカーボン”と呼ばれています。

ブルーカーボンは、国連環境計画(UNEP)が2009年に発行した報告書『Blue Carbon』の中で初めて定義され、地球温暖化防止のための新たなCO₂吸収源として注目が集まっています。

日本は海洋のCO₂吸収源のポテンシャルが高い

海洋面積は地球上の約71%を占めており、海洋生物はそのうち0.2%ほどの沿岸域に集中して生息していることを考えると、海洋生物のCO₂吸収力は陸上(地球上の約29%)に生息する多数の生物の吸収力よりもはるかに高いとみられます。また、ブルーカーボンは数千年もの長期間、海底に貯留・分解されるため、大気中にCO₂を再放出しないという強みを有しています。

日本の国土の約3分の2が森林ですが、樹木の高齢化等で今後、森林のCO₂吸収量の減少が予想されています。国土を海に囲まれた日本の海岸線は、世界で6番目の長さを有していることから(グラフ2)、ブルーカーボンのポテンシャルが高いとされており、ブルーカーボンは将来的に貴重な吸収源となることが期待されます(グラフ3)。

脱炭素の流れから近年、国際的に注目が集まるブルーカーボンに着目する国内企業が増加しています。国土交通省は、海藻などの海洋生物によって吸収されたCO₂量を企業が取引できる仕組みづくりを整えることで、企業のさらなる参入を後押ししていく見込みです。

グラフ2:日本の海岸線の長さは世界第6位

  • ※世界の海岸線の長さランキング
  • 出所:The World Factbookのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:日本のCO₂吸収源として海洋生態系は有望

  • ※日本における主な吸収源によるCO₂の年間吸収量の割合を試算したもの
  • *海洋生態系は推計の上限値を用いて算出
  • 出所:国土交通省の資料をもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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