SOX指数の魅力について
戦略運用部
関 邦仁
概 要
- 世界半導体市場は2030年までに約2倍へ
- 年々高まるSOX指数採用銘柄の利益率
- 価格決定力の上昇が高利益率をけん引
世界半導体市場は2030年までに約2倍へ
“フィラデルフィア半導体株指数(以下、SOX指数)の魅力”は、なんと言っても半導体市場の拡大というマクロ経済からの大きな追い風にある。SOX指数の予想EPSは世界の半導体売上高との連動性が高いことがわかる。(図1)。
世界の半導体市場が2030年までに約2倍に拡大すると予想されている中、関連銘柄の業績も基調としての拡大が続くと考えられる(図2)。
【図1:世界半導体売上高とSOX指数の予想EPS 】
- データ期間:2005年1月末~2023年1月末(月次)
- 出所)ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
【図2:半導体市場の規模予想】
- データ期間:2020年~2030年(5年毎)
- 出所)スタティスタのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
年々高まるSOX指数採用銘柄の利益率
SOX指数採用銘柄の多くが、高い売上高営業利益率(以下、利益率)が確保できている点も魅力の一つであろう。半導体関連企業は莫大な研究開発費等を必要とする中においても、指数別で見た利益率では、2022年12月時点で27.8%と各国の株価指数と比較して群を抜いて高い。
S&P500指数が14.6%、TOPIXが6.8%であることを踏まえれば、その高さが分かってもらえるのではないだろうか。そして利益率が年々高まっていることも特筆すべき点である(図3)。
【図3:指数別の売上高営業利益率】
- データ期間:2005年12月末~2022年12月末(月次)
- 出所)ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
価格決定力の上昇が高利益率をけん引
なぜこのような利益率の実現が可能なのか。
半導体市場では、求められる技術の高まりによって10年以上に渡って再編が行われてきた。その分、参入障壁が高くなり、価格決定力が上昇しているのである。また、かつては品揃えを増やすことが大手半導体企業に求められたが、現在は選択と集中が進み、独自の市場に特化する半導体関連企業が増えている。このため、その分野では価格交渉の主導権を握り続けることができているのである(図4で半導体メーカーの市場シェアを記載しているが、中身はパワー半導体、アナログ、ロジック、メモリと分野は多岐にわたる)。
例えば、SOX指数採用銘柄で最も利益率が高いTSMC(台湾積体電路製造)の利益率は2022年10-12月期で52.0%となっている。その一因には、他のファウンドリー(半導体の設計を行わず生産のみを行う)企業では作れないほどの半導体を微細化する最先端技術を有することで強い価格交渉力を持つことがある。
また、GPU(画像処理装置、性能が良くなるほど画像がきめ細やかに映る)に特化した半導体メーカーであるエヌビディアは、これまでPCやゲーム向けに需要を伸ばしてきた。その後データセンター需要の拡大に伴い同分野向けのGPUで圧倒的なシェアを握っている。更に、AI(人工知能)の発展に欠かせないディープラーニング(深層学習)では、音声や画像、テキストなどのデータを高速でコンピューターに学習させて、その意味を把握させる必要があり、そこでも同社のGPU需要が更に伸びると期待され、価格交渉力の面で高いイニシアティブを握ると予想される。
こうした市場の拡大や高い収益性を原動力に今後も関連銘柄の業績拡大基調は継続し、株価の上昇基調は続くと考えられる。
【図4:半導体メーカーの市場シェア】
- 出所)スタティスタのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
- 赤枠はSOX指数採用銘柄を示したものです。
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