社会全体のデジタル化に伴う半導体需要の増加、必要性の高まりについて
戦略運用部
関 邦仁
概 要
- 半導体市場は今後2.7倍に成長の可能性も
- 近年の半導体市場では成長ドライバーに変化
- 情報技術の必要性の高まりが半導体需要を押し上げる可能性
半導体市場は今後2.7倍に成長の可能性も
“産業の米”。この言葉を辞書で引くと、「産業の中核を担うもの。幅広い分野で利用され、産業全体の基盤となり、生活に必要不可欠なものをいう。高度成長期は鉄鋼、1970年代後半以降は半導体と、時代によって変化する。」と出てくる。現在、半導体が使用されているモノは、携帯電話(スマホ)、TV、PC、ゲーム、エアコン、炊飯器、洗濯機、鉄道、自動車など、まさに生活に必要不可欠なものとなっている。そして、その“産業の米”は今後も高成長が見込まれている。
SEMI(国際半導体製造装置材料協会)のプレジデント兼CEOであるAjit Manocha氏はSEMICON West 2021 HYBRIDにおいて、「(300mmウェハによる生産能力拡大などの一定の条件を満たせば)半導体市場は2030年の前に少なくとも1兆ドル規模に達し、2030年には1兆2,000億ドルに達する可能性が高い」と述べ、今後の市場拡大に自信を示した。
2020年の約4,400億ドルから10年で2.7倍超もの成長であり、一見難しいように感じる。しかし、1990年~2000年:4.0倍、2000年~2010年:1.5倍、2010年~2020年:1.5倍もの成長を遂げてきたのが半導体市場である (図1)。そうしたことを踏まえれば、決して無理のある数字ではないようにも感じる。
【図1:半導体市場規模の推移 】
- データ期間:1987年~2021年(年次)
- 出所)スタティスタのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
近年の半導体市場では成長ドライバーに変化
では、どのような分野が半導体市場のけん引役になるのか。近年、そのドライバーにやや変化が生じてきている。
これまでは、電気機器の性能向上が半導体需要を押し上げた面が強い。例えば、スマホやPCの高性能化、自動車で言えば先進運転支援システム(ADAS)の搭載などがそうだろう。つまり、機器の進化が半導体需要を押し上げた(または半導体の進化が新たな機器の開発に繋がった)のである。もちろん、こうした機器には買い替え需要が存在するため、今後も継続的な需要が想定される。
情報技術の必要性の高まりが半導体需要を押し上げる可能性
一方それとは別に、新たな需要として期待できるものがある。それは、AI(人工知能)、メタバース、クルマの自動運転、遠隔医療システム、工場の全自動化等である。一見分かりにくいかもしれないが、これらは大量のデータをクラウド上でやり取りする必要があり、より高度な演算や高い処理速度が求められる。特に、クルマの自動運転や遠隔医療システムは、人の生命に関わるだけに、データをやり取りするための半導体もより高機能化する必要がある。つまり、情報技術の必要性の高まりが半導体需要を押し上げる可能性が高まっているのである。
先の機器の買い替えサイクルや新商品サイクルなどにより、周期的な好不況の波を繰り返す、いわゆる「シリコンサイクル」は今後も繰り返されると考えられる。そして、そのシリコンサイクルの面では2023年は厳しい業界環境になることが予想されている。
しかし、あらゆるモノとモノがつながり、そこを行き来するデータ量が今後爆発的に増えていくことが予想される中、半導体市場は長い目で見れば高成長が続いていく可能性が高いのではないだろうか。
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