金融市場ラインマーカー

米国の追加金融緩和策について

2011年09月20日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 量的緩和策第3段(QE3)への市場の期待は高いものの、その経済効果への疑問やインフレへの影響から実施に向けたハードルは高いものと考えられる。
  • 9月20日、21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)ではツイストオペの実施が有力との観測が強い。

8月のFOMCでは、「脆弱な景気や金融市場支援に向け政策金利の誘導目標を、今後少なくとも2年間は維持する」と時間軸効果に一歩踏み込んだ異例の決定がなされました。また、議事録によると、(1)量的緩和策第3段(QE3)、(2)ツイストオペ(FRB(連邦準備理事会)が保有する債券の入れ替えにより、ポートフォリオを長期化することで、長期金利の低下を目指すオペレーション)、(3)超過準備への付利金利引き下げ等が、追加の緩和策として例示され、9月20日、21日のFOMCでこうした策が検討されるものと思われます。

グラフ1:量的緩和策と消費者物価指数の動向

出所:ブルームバーグを基にニッセイアセットマネジメント作成

ロイター社のプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)への9月サーベイでは、今後半年の間にQE3が実施されるとの予想中央値は45%になり、8月時点のサーベイ(37.5%)から上昇し期待が高まっていますが、結果的に過去の量的緩和策はコモディティ価格の急騰を通し、インフレ上昇を助長したことや、その経済効果への疑問(雇用環境の改善や住宅価格の反転が見られない)から実施に向けた政治的なハードルは高いものと考えます。また、過去に量的緩和策が実施された局面では、インフレが落ち着いた動きをしていましたが、現在は上昇傾向にあります(グラフ1)。

FOMCで投票権を持つメンバー内でも、追加緩和に反対を表明している理事が3人いますが、いずれも反対理由として、QE3の経済効果への疑問とインフレ警戒を理由に挙げています(表1)。上述を鑑み、次回FOMCでの追加緩和策はツイストオペ等の政策がとられるものと見込みます。

表1:投票権を有するFOMCメンバーの追加金融政策スタンス

理事・総裁名 地区等 (1) (2) 金融政策に関するコメント
フィッシャー ダラス連銀 × × 株式市場を保護するという均衡を欠いた金融政策をとるべきではない。
プロッサー フィラデルフィア連銀 × × 8月のFOMCの決定は不適切な時期における不適切な政策。
利上げは少なくとも、2年後である公算は小さい。
QE3が米国の問題にプラスになるか確信が持てない。
コチャラコタ ミネアポリス連銀 × × 9月も追加緩和を正当化する可能性は低い。
2013年半ばまでの時間軸を覆すことはしない。
8月の緩和決定はインフレを2%程度で維持するとのFOMCの姿勢と相容れない。
行き過ぎた緩和策はインフレを加速
エバンス シカゴ連銀 より強力な金融緩和が長期間に渡って必要だと考える。
デューク FRB理事
タルーロ FRB理事
イエレン FRB副議長
ラスキン FRB理事
ダドリー ニューヨーク連銀 FOMCの低金利維持表明は景気回復を支援する。
バーナンキ FRB議長 FRBは追加的な金融刺激に使用可能な一連の手段を有する。
  • =8月FOMCでの「2013年までの時間軸声明」に反対(×)賛成(○)
  • =9月FOMC追加緩和の反対(×)賛成(○)見込み

出所:ブルームバーグを基にニッセイアセットマネジメント作成

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