金融市場ラインマーカー

欧州銀行ストレステスト(健全性審査)の結果について

2011年07月21日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2011年6月以降のレポートはこちらから

金融市場動向

  • 欧州銀行ストレステストは不合格行が8行、総額25億ユーロの増資が必要との結果になった。
  • ストレステストのシナリオ設定が甘く、結果を疑問視する向きが多いため欧州重債務問題の不透明感は解消されず。

欧州の銀行90行を対象にした、ストレステスト(健全性審査)の結果が7月15日に発表になりました。事前の予想では、不合格行が5~20行になり、必要な増資規模が100億ユーロ以上に達すると見込まれていました。
しかし、2年間の景気後退シナリオの下、自己資本(コアTier1※)比率が5%以下となった不合格行は8行(スペイン5行、ギリシャ2行、オーストリア1行)、増資規模は25億ユーロに留まりました(グラフ1、2)。

  • 普通株式と内部留保から構成される中核的自己資本

グラフ1:不合格行の自己資本(コアTier1)比率

出所:欧州銀行監督機構(EBA)、各種報道、ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:ストレステスト不合格行の増資必要額

出所:欧州銀行監督機構(EBA)、各種報道、ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

ストレステストのシナリオ設定では、満期保有目的(銀行勘定)の国債は全額償還されるものとして位置付け、トレーディング勘定で保有する国債のみをリスク資産としています。従って、デフォルト(債務不履行)リスクや債務カットが懸念されるギリシャ国債のデフォルトは想定外となっています。このため、ストレステストのシナリオ設定が甘く、結果を疑問視する声が大半を占めており、ユーロ圏の重債務問題の不透明感は払拭されていません。

グラフ3:ストレステスト対象行のギリシャ国債保有状況

出所:欧州銀行監督機構(EBA)、各種報道、ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

ストレステストでは想定外になっていましたが、市場では、ギリシャ国債のデフォルト懸念が払拭されていません。ストレステスト対象行のギリシャ国債保有状況はグラフ3の通りですが、万一デフォルトになれば、ギリシャの銀行のダメージは、特に大きいことは明らかです。それぞれの国が自国の銀行を救済できる能力があるのか、また、国にその能力が無い場合、誰が銀行を救済するのかの目処が立たない限り、不透明感は払拭されないものと考えます。

7月21日には、ギリシャを震源とする危機の伝播を止める新戦略の取り決めを協議するEU(欧州連合)サミットが開かれる予定です。この中で、具体的・効果的な危機打開策が打ち出されるかどうかに要注目です。

金融市場ラインマーカー一覧へ

「金融市場ラインマーカー」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。