金融市場ラインマーカー

為替市場の強弱感の背景を探る

2011年06月17日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 米国の量的緩和(QE2)を受けたドル安の受け皿となってきたのはユーロであり、QE2期間中はユーロ高を軸に他通貨の強弱感も決まっていた。
  • QE2期間の通貨間のパフォーマンスは、結果的に2つの変数(金利差・ユーロとの相関)が大きく影響していたと考えられる。

為替市場では、2010年11月以降、米国の量的緩和(QE2)を受けた「ドル余剰」を主なテーマとしてドル安が進み、その受け皿としてユーロが上昇してきました。その流れの中で、ユーロとの相関(グラフ1)が高く、かつユーロよりも金利が高い国の通貨(ハンガリーフォリント、ロシアルーブル、ポーランドズロチ)が年初来の対ドルトータルリターンで高いパフォーマンスを記録してきました。一方、対米金利差がいくら大きくても、ユーロとの相関が低い国の通貨(メキシコペソ、ブラジルレアル、トルコリラ、南アフリカランド)のパフォーマンスは、対米金利差が1%のユーロを下回りました(グラフ2)。

グラフ1:2000年以降の対ユーロとの相関係数(ドルベース)

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2:2011年1月3日~6月10日までの対ドルトータルリターン

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

円で同じアプローチをしてみても同様の結果となりました。つまり、対円でもユーロ高が進む中、ユーロとの連動性が高く、かつ日本との金利差が、ユーロよりも高い国の通貨(ハンガリーフォリント、ロシアルーブル、ポーランドズロチ)の対円トータルリターンのパフォーマンスが良好でした(グラフ3)。 総じて言うと、年初来の通貨間の強弱感を決めてきた変数の一部は、「金利差・ユーロとの相関」であったと推測されます。このことは、二つの変数を掛け合わせた結果の順位と、グラフ3のパフォーマンスの順位が、ほぼ等しくなっていることからも推測されます(グラフ4)。

グラフ3:2011年1月3日~6月10日までの対円トータルリターン

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ4:日本との政策金利差×ユーロとの相関係数

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

「ドル余剰相場」の最大の原動力となっていたのは米国の量的緩和(QE2)ですが、QE2は6月末で終了します。QE2終了に「ドル余剰相場」が転換点を迎えるのかは議論が分かれるところですが、米国当局は、QE2終了後も緩和的な政策を続け、ただちに市場からドルを吸収する意思がない旨の声明を出しています。このため、QE2終了後も年初来の相場展開が続き、QE2期間のように、2つの変数(金利差・ユーロとの相関)が市場を主導してゆくのか注目したいところです。

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