金融市場ラインマーカー

エマージング市場のファンダメンタルズの改善について

2011年06月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2011年6月以降のレポートはこちらから

金融市場動向

  • エマージング諸国のファンダメンタルズは大幅に改善しており、エマージング債券指数は、現在のリスク回避局面でも堅調推移するに至っている。リスク回避局面において脆弱だった特性は、過去との比較で改善していると考える。

グラフ1

出所:ブルームバーグ、IMF、BISのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

エマージング市場は90年代後半から2000年初頭にかけて、対外債務返済能力の低下、外貨準備の枯渇、経常収支赤字の拡大等を背景に、危機的な局面を経てきました。また、2000年代後半においても、サブプライムショック、リーマンショック等の外的ショックに対しても、脆弱な特性が観測されてきました。グラフ1はその具体例です。
過去の金融ショック局面(点線囲い部分)で、安全資産の代表である米国債指数が上昇する一方、エマージング債券指数はリスク回避から下落しています。
しかし、現在のリスク回避局面(グラフ1の(1))では様相が異なり、エマージング債券と米国債の両指数がともに上昇しています。この動きだけを見ると、エマージング諸国の債券は、リスク回避局面での資金の逃避先の一つになったようにも見えます。

グラフ2

出所:ブルームバーグ、IMF、BISのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

資金の逃避先の一つになっていると見た場合、その背景には、エマージング市場のファンダメンタルズが、大きく改善したことが挙げられます。例えば、グラフ2の通り、先進諸国の経常収支が赤字で推移している一方で、エマージング諸国は黒字で推移しており、外貨の獲得が順調に進んでいることがわかります。

グラフ3

出所:ブルームバーグ、IMF、BISのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

かつて、エマージング諸国は、対外債務や経常赤字の穴埋めとして、海外からの資本流入に依存していました。従って資本が急激に流出した過去の危機的な局面ではファイナンス危機(デフォルト等)に陥りました。
しかし、現在は対外債務を減らし、危機的な局面に対し、安定的な財政基盤が築かれています(グラフ3)。

グラフ4

出所:ブルームバーグ、IMF、BISのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

短期対外債務の外貨準備比率及び経常収支/対GDP比のバランスを見ても、短期対外債務の返済に充当する外貨の備えは充分で、安定的な環境にある(一部トルコを除き)と考えられます(グラフ4)(※)。

  • 短期対外債務の外貨準備比率が約100%を超える場合やその近辺の水準である場合、短期対外債務の返済に充当する外貨の備えは、充分ではないという見方が出来ます。また、経常収支/対GDP比のバランスの値がマイナスであると、その国の外貨は国外に流出する傾向があります。そのため、グラフ4の左上に位置しているトルコは、危機的な局面に対し、安定的な水準とはいえない水準であるという見方が出来ます。

金融市場ラインマーカー一覧へ

「金融市場ラインマーカー」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。