金融市場ラインマーカー
円キャリー(円借り)、ドルキャリー取引の環境
2011年05月20日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
-
2011年6月以降のレポートはこちらから
- 円キャリー(円借り)取引はリスク回避的局面では低迷するが、リスク選好局面では活発化し円安の原動力となることがある。
- 足元、リスク回避的傾向が落ち着きはじめた感があり、金利差の大きいエマージング通貨を中心に円高の勢いが弱まりはじめた。
低金利の通貨(ファンディング通貨)で資金調達し、海外の高金利通貨に投資する運用手法をキャリー取引といいます。この取引は、先行きの為替市場の変動幅(ボラティリティ)が低下すると思われる環境で活発化する傾向があるようです。ですから、通常、リスク回避局面では当該取引は低迷し、リスク選好局面で活発化する傾向があるようです。
グラフ1

現在は市場のリスク回避的傾向が、やや落ち着きはじめた感があり、円高の勢いは、金利差の大きいエマージング通貨を中心に弱まりはじめたようです。この先、市場のリスク回避的傾向が更に後退すれば、ファンディング通貨としての円がクローズアップされ、円安の原動力になることも視野に入ります(グラフ1、2、3)。
グラフ2

グラフ3

グラフ4

円と共に低金利なため、ファンディング通貨の側面があるとされている米ドルも市場がリスク選好傾向に本格的に向かえば、ファンディング通貨としての側面に焦点が当たる可能性があります。足元のユーロ/ドルの動きと、ドルキャリー取引指数の動きからすると、市場のリスク回避的傾向は次第に落ち着きつつあるように見えます(グラフ4)。
- 外国と日本の短期金利差÷外国通貨/円の1ヶ月インプライドボラティリティ(市場予想の為替レート変動率:ボラティリティ)
金融市場ラインマーカー 関連記事
- 2020年11月10日号
- 【アナリストの眼】前提が変わる時代のアナリスト活動
- 2020年10月12日号
- 【アナリストの眼】企業の「パーパス」に対する期待と関心の高まり
- 2020年09月24日号
- 【アナリストの眼】自動車業界の環境対応と長期業績予想へのインテグレーション
- 2020年02月28日号
- POS小売指数による消費税増税後のマクロ消費予測
- 2020年02月17日号
- 【アナリストの眼】インバウンド消費が向かう先
「金融市場ラインマーカー」ご利用にあたっての留意点
当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。
【当資料に関する留意点】
- 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
- 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
- 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
- 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
- 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。