金融市場ラインマーカー

原油価格と米国経済

2011年03月02日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 政学的リスクが、最大の産油国であるサウジアラビアを含む他のOPEC諸国に波及しない限り、原油価格の上昇は限定的。
  • 世界最大の原油消費国である米国内の原油需給は逼迫化が見られず、原油価格の抑制要因。
  • 地政学的リスクを織込んだ、原油価格高騰を演出している主体は投機筋であり、需給逼迫が要因とは言いがたい。

グラフ1

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

リビア情勢の緊迫化や中東OPEC産油国への波及懸念から、原油価格が高騰しています。リビアの原油生産量は日量約160万バレルであり、仮に、リビアの生産がゼロになったとしても、計算上はサウジアラビアの増産で対応が可能です(グラフ1)。米国のガイトナー財務長官は「産油国は市場でのいかなる不足にも対応できる余剰生産能力を備えている。」と述べています。

実需ベースの投資家ではない、いわゆる投機筋によるWTI原油先物の買い持ちポジションは過去最高水準にあります。これら投機筋は短期の投資主体であり、現状の原油高が長期トレンド化する可能性は現段階では限定的と考えます。米国原油在庫の減少を受けた需給逼迫懸念が拍車をかけ、140ドル台の高値を示現した2008年夏場当時の相場つきと現在は状況が異なります(グラフ2)。ちなみに現在の米国の原油在庫は最高水準にあり、需給逼迫環境にはありません(グラフ3)。

グラフ2

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ3

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ4

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

季節柄、第1四半期(春)は暖房需要の落ち込み等もあり、米国のガソリン・エネルギー消費需要は伸びない傾向があります(グラフ4)。世界最大の原油消費国である米国の需要が伸びないのは、原油価格のけん制要因と考えられます。

グラフ5

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

米国の製油所の稼働率を見ても、1997年以降の平均を大きく下回っており、需給の逼迫感は醸成されていません。これも原油価格高騰のけん制要因といえます(グラフ5)。

グラフ6

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

2008年夏場の原油価格高騰局面は、米国景気の後退期に重なっており、米国景気悪化に拍車をかける要因となりましたが、現状は、景気回復局面下での原油価格上昇となっており、原油価格上昇に対する米国景気の耐性は強いものと考えます(グラフ6)。

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