金融市場ラインマーカー

日本国債の格下げについて

2011年01月28日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 日本国債の格下げが基調的な金利上昇につながる可能性は低いものと考える。

グラフ1

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

1月27日にS&P社が日本の外貨建て・自国通貨建て長期債の格付けを1段階引き下げAA-(最上位から4番目)としました。格付け見通しは2010年6月の「ネガティブ(今後の格下げを示唆)」から今回、「安定的」に変更となり、当面、S&P社による追加格下げは示唆されていません。格下げの主な理由は政府の債務削減努力が十分でないというものでした。

2000年代において、日本の自国通貨建て長期債の格下げが国債の利回り上昇に明確に反映されたことはありません(グラフ1)。1998年は政府の財政拡大路線への転換が国債の需給懸念を呼び起こしたことが主な要因であり、格下げが直接の金利上昇要因ではありませんでした。

過去、日本の財政問題は金利上昇の要因にはなりませんでした。これは、基本的に国内の貯蓄が豊富なため、海外資金に依存しなくても国債の消化(購入)が十分可能であったからだと言われています。日本の国債は全体の約60%が国内の金融機関によって保有されている一方、海外勢は5%程度の保有に留まっています(グラフ2)。また、家計の金融資産内訳の約60%は現金・預金であり、日本の家計は金融機関の預金を通して、間接的に国債の消化(購入)に貢献しているとも言えます(グラフ3)。このように、国債の買い手の資金(国内貯蓄)が豊富な場合は、財政規律の悪化が即、悪い金利上昇には直結しにくいと考えられます。

グラフ2

出所:財務省と日銀のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成
2010年9月末現在

グラフ3

出所:財務省と日銀のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成
2010年9月末現在

グラフ4

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

日本国債の新しい格付けである「AA-」は、財政危機で揺れるスペインの「AA」よりも一段階低いことになります。国債や社債のデフォルト(債務不履行)の可能性を示唆する代替指標ともいえるCDS市場では、日本は格付けがスペインよりも低いにも関わらず、日本のCDSはスペインのものと比較すると低位横ばいになっています(グラフ4)。 日本国債と同じ格付け「AA-」であるJR東日本のCDSも、安定的に推移しており、国債格下げの社債市場への影響も現段階では観測されていません(グラフ4)。

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