金融市場ラインマーカー
米国の金融緩和と株式市場
2010年12月20日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
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- 米国の積極的な金融緩和姿勢は、インフレ期待上昇の一要因であり、コモディティ価格は上昇
- コモディティ価格の上昇は、主要輸出国を多く含むエマージング諸国の株価にプラス寄与。
- 米量的緩和の進展と米国株・エマージング株上昇はリンクしており、今のところ同措置は株価のプラス要因として機能。
12月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、金利の据え置きに加え、来年6月期までに6,000億ドル、月間で約750億ドルの国債を購入する第二弾量的緩和(QE2)も据え置きました。QE2は成長率の加速、失業率の低下に加え、基調的なインフレ率の上昇を目的としています。実際、8月以降の米インフレ期待は、商品相場の反発や米国の積極的な緩和姿勢を反映し上昇しています。この動きを見る限り、金融当局の積極的な緩和姿勢はインフレ期待の醸成に一定の効果を挙げているものと考えられます(グラフ1)。
米国のインフレ期待上昇はコモディティ価格の上昇と密接に関連し、コモディティの主要輸出国を多く含むエマージング諸国の株価にもプラスに働いています(グラフ2)。
グラフ1

グラフ2

追加量的緩和政策の効果は不透明ながらも、株式市場には好感されているようです。米国株は、QE1開始後に底を打ち、上昇に転じており、QE2後も堅調に推移しています(グラフ3) 。米国の投資家にとっては、自国の株価が上昇すれば、リスク許容度が高まるため、更にハイリスクハイリターン資産に投資する余力が生まれます。このことを反映してか、エマージング諸国の株は米国のQE1に歩調を合わせて上昇し、QE2後も堅調に推移しています(グラフ4)。現状の動きだけを見れば、来年6月まで続く米国の量的緩和は世界の株式のサポート要因といえそうです。
グラフ3

グラフ4

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