金融市場ラインマーカー

国内金利上昇の要因と今後の動向

2010年12月16日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

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金融市場動向

  • 現局面の金利上昇は銀行の債券ポートフォリオのリスク量圧縮というテクニカルな要因によるところが大。
  • 銀行の貸出利ざやは低く、債券ポートフォリオのリスク量は大きく減らせず金利上昇はおのずと限界。

米国で追加量的緩和(QE2)が発表された11月初旬以降、金融緩和の出尽くし感から米国金利が上昇に転じ、これに連動し日本の長期金利も上昇しています。この背景の一つには日本の銀行の債券ポートフォリオにおける急激なリスク圧縮の動きが挙げられます。

日本の銀行は国債売買において最大の投資主体です(グラフ1)。また米国債券をはじめ海外債券市場でも活発に売買をする投資主体でもあります。米国金利を発端とした金利急上昇で、銀行は海外債券のリスク圧縮を進めると同時に、国内債券のリスク量も一斉に圧縮しました。グラフ2を見ると海外債券の売越し局面と日本の10年国債利回りの上昇局面がリンクする傾向が見てとれます。これが足元の長期金利上昇要因の一つと考えられます。

グラフ1:国債の保有構成( 2010年6月末)

出所:日銀のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ2

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

今回の金利上昇を2003年時の金利上昇の再現と見る向きもありますが、現在の銀行の貸出利ざやが当時の約3分の1に低下し(グラフ3)、かつ企業の借入れ意欲が低い環境では、貸出の増加も見込み難く、必然的に債券ポートフォリオのリスク量を大きく減らせないと思われます。このため、銀行のリスク圧縮を受けた今回の金利上昇はおのずと限界があるものと考えます。

今回の金利上昇は、円との連動性から見ても特異に見えます。2003年当時の金利は円安の中、景況感が改善する局面で急上昇しましたが、足元は円高局面かつ景気回復感が乏しい中で金利が上昇しています。円高/デフレの中、金利だけが単独で今後も上昇し続ける可能性は低いものと考えます。

グラフ3

出所:日銀のデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

グラフ4

出所:ブルームバーグのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成

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