金融市場ラインマーカー
通貨市場の強弱感を考える
2010年09月21日号
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- 日本の実質金利の高さは先進国比では円高の一要因。
- 主要金融機関の2011年予想中央値によると、日本は他国比、相対的に低成長+低金利国であり、円安要因。
通貨の強弱感を決める重要な指標の一つに実質金利(名目金利-物価上昇率)が挙げられ、昨今の円高の理由として日本の実質金利の高さが一要因として考えられます。日本の実質金利は主要国の中では豪州に次いで高い状態です(グラフ1)。一方、エマージング諸国との比較では、ブラジル、南アフリカ、中国より低位に位置しています(グラフ2)。
日米欧は一段の金融緩和モードである一方、エマージング諸国は金融引き締めに転じる国が出てきました。このような金融政策の乖離は、先進国通貨に対するエマージング諸国通貨のサポート要因と考えられます。
グラフ1

グラフ2

主要金融機関の2011年経済予想中央値を基に、政策金利と実質GDP(前年比)の相関図を作ると、日本は主要国間で左下方向、つまり低成長+低金利群(通貨安方向)に位置することになります(グラフ3) 。一方、右斜め上方向(通貨高方向)、つまり高成長+高金利群で群を抜いているのは豪州となりました。エマージング諸国で同じアプローチをすると、日本の低成長+低金利が顕著に見えます(グラフ4)。2011年に向けて、この予想が通貨市場の強弱関係に反映される局面が来るのか要注目です。
グラフ3

グラフ4

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